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プーチン困惑、好調の中のロシアに突然向けられた米国による経済制裁

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経済制裁、余裕も消し飛ぶロシアの苦悩

米議会が作り上げた「対ロシアの経済制裁強化案」にトランプ大統領が署名をした。当初、この報道を聞いたロシアの高官やプーチン大統領は、米国の混迷振りに高笑いしているという場面もあった。しかし実情は、この制裁は決して笑ってやり過ごせるものではないと見える。ただ先述の報復措置は別路して、それに対する強烈な報復合戦などもしていられる余力も無いだろう。

大国と呼ばれていても、ロシアの経済事情は決して強くなく、経済規模でいえば、ロシアは米国の14分の1程度だ。今回の外交官の削減措置は、一見強力な報復に見えなくもないが、米国からの制裁内容に比べればはるかに軽微と言えるだろう。

米国からの制裁は、ロシアの強味であるエネルギーを対象としているほか、対ロシア融資の規制強化も視野に入れている。そして既に実施された制裁について、トランプ大統領が緩和することを困難とする体制も出来上がっている。今回の制裁に対する会見でも、プーチン大統領は「両国間の関係改善は、まだ暫く成し得るに至らなそうだ」と発言し、それはネガティブながらも、強い攻撃性は感じられるものではなかった。

「米国側にとって必要性の高い分野で、米政府との協力を制限することもできる」とも述べたが、それは「まだ必要ではない」とし、「米露関係が傷つくだけでなく、われわれにもダメージが及ぶ」と述べている。総じて「米国の出方を観る」というスタンスであるが、この発言内容から観ても、強気に出れない状況だという事が解る。

大国ロシアのポテンシャル

プーチン大統領は、従来の大統領の中でも経済思考が強く、外国からの投資やビジネスにはオープンな姿勢をアピールしてきた。その影響か、プーチン大統領就任初期には5%強の成長率を叩き出した事もあった。だがロシアは、2014年のウクライナからクリミア半島を併合した際に、米国と欧州連合より経済制裁を受けた事により、成長率は縮小していく事になる。それまで海外からの投資により、景況の発展を期待していたロシア国内の投資家も、経済制裁というワードには非常に慎重になっている。

元々、2014年のウクライナ問題により受けた経済制裁と、原油価格の低迷により下落を続けていたが、昨今は落ち着きを見せ、安値水準で推移しているという事から、ロシア株は世界中で注目されていた。本来であればロシアという国のスペックは、他国では類を見ない。

とにかく資源が豊富で、天然ガス、石炭といったエネルギー関連や、金、ダイヤモンド等の鉱物も世界シェア上位に並ぶ物が多い。さらに、小麦や大麦のほか、じゃがいも、テンサイなどの農作物でも世界トップクラスの生産量を誇っており、輸出の8割は資源が占めている。その中でも原油は大半を占め、その輸出額は世界首位に位置している。

加えて、鉄鋼業や化学工業なども盛んで、軍需産業産業に関しては世界でも未だ上位だ。中国を筆頭に、世界の軍事費は拡大傾向にあるため、軍需産業の成長は今後も望める分野である。また、ルーブルも2014年以降は下落し、一時は通貨危機にまで達する程であったが、昨今は下落も落ち着いて、むしろ株価も通貨も、6月の後半に下値を着け反発している。

ロシア経済は未だ低迷の最中であるが、現水準は特に海外マネーを呼び込む絶好のチャンスであるとも見受けられる。しかし、そこに今回の「追加制裁」が起きた事により、投資家の意欲にブレーキが掛かってしまった様だ。

プーチン大統領の受身とも取れる発言は、こういった背景を考慮しての事なのだろう。実際に今回の追加制裁の報道がされても下落はそれ程でもなく、安値水準である事が見て取れ、現時点では上昇トレンドを崩すには至っていない。ただこの先、制裁によりどの様な影響、及び OPECの対応によっては、さらなる混乱が市場に起こる事も無いとは言えない。したがって、過剰なまでに慎重になる事は納得が出来る。

大統領選にも影響?米国の非情な経済制裁

米国は既にいくつかの露企業とプロジェクトで協力体制にある。ロシア極東沖において、石油と天然ガス開発プロジェクトで、ロシア国営石油大手ロスネフチと、また北米やモザンビークでのプロジェクトでも協業する事となっている。また、ロシアのVSPO-アビスマは、米航空大手ボーイングに最大40%のチタンを供給しており、両社はロシアで合弁事業を立ち上げている。

この様な他国との提携は、ロシアにとってもあらゆるノウハウを吸収出来る機会であり、プーチン大統領の海外からの投資を積極的に呼び込んでいる姿勢は、こういった部分も見据えているのだろう。そして2018年には、ロシアでは大統領選挙が控えているが、課題であった経済面の改善が先述のとおり滞っている。

ロシア政府は、次期もプーチン大統領が出馬すれば、高い確率の当選を目論んでいた様だが、今回、追い討ちを掛ける様な悪材料が発生してしまった。今回の米国の制裁内容は決して軽くなく、特に先述の既に協業が合意されている事業をはじめ、様々なロシアの事業が頓挫する事に成りかねず、このままでは深刻な状況を引き擦ったまま大統領選を迎える事になってしまう。今回の追加制裁は、ロシア側としては否定をしている米大統領選への干渉疑惑が起こりとも言える。

これは米国内の事であって、そこまでの経緯でプーチン大統領やロシア政府の米国との外交にそれほど問題があった様には思えない。したがって、問題と言うならクリミア進行は挙がるだろうが、今回の追加制裁によってプーチン大統領の「評価を暴落させる事になる」かというと腑に落ちない部分もある。

しかし苦渋を舐める国民は、目の前の苦しさ故、大局の判断が出来なくなる事もある。プーチン大統領の支持率は未だ高水準を誇っているが、大きな懸念材料の一つとなる事は間否めないだろう。

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