国境壁建設、提唱しているトランプ大統領も苦難する不具合

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トランプ氏の大統領就任を最も懸念している国

昨今は北朝鮮リスク等で影を潜めているが、元々トランプ氏が大統領に就任したことを懸念しているのはメキシコだろう。大統領選以前からトランプ氏は、メキシコにとって不利益なマニフェストをいくつも掲げていたからである。その中でも筆頭として挙げられるのが壁建設だろう。

壁とは、米国とメキシコの国境間に建設するというものであり、実際には物理的な壁ではなく、センサーと監視カメラによる仮想の壁となっている箇所もある。これに加え、さらに突破が困難な強固な壁を建設しようというのが、今回のトランプ政策だ。

米国とメキシコの国境は、総距離で3145kmとなるが、都市部や砂漠を含む様々な地形を横切っている。壁は過去に最も違法犯罪や麻薬密売が集中して確認された都市部や無人の場所に設置されてきた。

これらの都市部には、カリフォルニア州サンディエゴとテキサス州エル・パソがある。ニューメキシコ州、アリゾナ州、カリフォルニア州に建設されたフェンスは、2009年時点で930 km以上となっており、テキサス州のフェンスとカリフォルニア州のボーダー・インフラ・システムの作業はまだ進行中である。

不法移民の存在は米国経済の助けにもなっている?

これらの壁は、メキシコからアメリカ合衆国への密輸や不法移民を防ぐことを目的としている。元々、米国にはメキシコをはじめとした中米からの移民は非常に多い。

移民達は米国内に留まり、極めて低い賃金による不法就労者となっているが、それでもメキシコにいるよりは米国の方が収入を得られる環境があるため、移民の数は増大している。実際に企業側も、米国人よりも安い人件費で労働力を得ることができるため、違法と知りつつも移民を雇用している現状がある。

現在のトランプ政権は、移民により米国民の雇用機会が奪われることにより増える米国内の失業率を改善するため、不法移民を抑制する目的で壁建設を推進しているというわけだ。

しかし一方では、メキシコ移民を減らすことにより、米国企業は低賃金の移民を雇えなくなるため人件費が上がるという側面もある。そうなると米国企業の収益は、間違いなく圧迫されるだろう。現在米国では、建設業や製造業等の現場では多くの移民が働いているため、それは米国の景気後退にも繋がり得る。

壁建設の費用において、トランプ大統領はメキシコが負担するべきだと主張しており、これがメキシコのペニャエニト大統領との間で衝突を起こしている。

「メキシコ人が違法に国外に出ていることに対して、メキシコ政府は取り締まりを強化すべきであり、壁の建設によって取り締まりができるのであるから、費用はメキシコが負担するのが妥当」というトランプ大統領の主張に対して、ペニャエニト大統領は「不法な移民を入国させたくないのはアメリカなのだから、壁の建設費はアメリカが負担すべき」という持論を展開している。

そして現在も、両者の壁建設費用負担に対する見解は平行線を辿っており、行き詰ったトランプ大統領はメキシコに代案を出す。それは、メキシコからの輸入品に高い関税をかけ、その税収入を壁の建設費に充てるというものだ。

NAFTA見直しによる両国の苦難

現在アメリカは、カナダ、メキシコとの3カ国によりNAFTA(北米自由貿易協定)を締結しており、メキシコからの輸入品には関税が掛からない。したがってトランプ大統領は、このNAFTAを見直し関税をかけようと考えている。

しかしこれは、米国国内でのメキシコ産製品は販売価格が上がるということにもなるため、トランプ大統領にとっては苦渋の選択でもある。それでも壁の建設費用の財源が確保できず、最終的に米国の税金を投入させる事態となるのは、何があっても避けたいところであろう。

一方、メキシコ国内ではアメリカ産の作物や製品が大量に販売されていることにより、それが産業を圧迫しているという現状がある。NAFTAが見直されることは、米国産の製品の輸入を抑制出来る効果もあり、国内産業が復活する可能性が考えられる。しかしそれは、米国への輸出の売上が伸び悩むことにも繋がる

現時点でメキシコは、NAFTAの見直しを受け入れないというスタンスを採っているようだ。

あくまで、自国優位の主張を展開するトランプ大統領に対して、メキシコは「自由貿易を守る立場」であることを強調している。交渉の結果がメキシコに不利なものとなった場合は、NAFTA脱退も辞さない意向を示している。

そしてメキシコは、「国境沿いの壁の建設費用も支払わず、いかなる形でも協力しない」という強固な姿勢をトランプ大統領に向けている。

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