恐怖蔓延、経済規模にそぐわない米株式の高すぎる時価総額

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ヘッジファンドの運用者が語る米国内の格差

ヘッジファンドを運営しているチューダー・インベストメントを率いる資産家ポール・チューダー・ジョーンズ氏は、企業経営者が利益至上主義的考え方を重視し過ぎているとして、ビジネスのやり方を変えるよう促した。

利益至上主義の代名詞ともいえるヘッジファンドの運営者がこの様な発言をするのは、いささか滑稽な気もするが、ジョーンズ氏が憂慮しているのは、現在の米社会が富という点であからさまに分断されているという点である。

これが偉大な文明や国を壊す事につながる重要な要素の一つであり、歴史的にこれらは、戦争か革命、税制のいずれかで解決されており、米国でも将来的に3つのどれかを通過する事になる、というのがジョーンズ氏の見解だ。

ミルトン、フリードマン氏が提唱する利益至上主義とは?

そもそも企業経営者が重視している利益史上主義というのは、経済学者ミルトン・フリードマン氏が提唱を基にしているものである。

フリードマン氏は、規制のない自由主義経済の設計を基本思想としており、例えば公共財により運営されている事業に対し、市場を通じた競争原理を導入した方が効率的であるという考え方だ。

一言で言えば民営化であり、これにより公共事業の基本的根幹である営利の制限を撤廃出来るという事で、際限無く利益の追求に勤しめる事になる。

この流れは以前より米国や日本をはじめとして世界じゅうに蔓延しているが、結果として経営陣の裁量で人件費をはじめとした支出の圧縮が極度に行われていたため、世間に格差が生じている事は世間でも周知の事実だ。

フリードマン氏が「企業の社会的責任は利益最大化」という論文を発表した1970年当時の連邦所得税率は最高70%だったが、現在は約40%、富の格差も今の5分の1程度だったとジョーンズ氏は述べ、「労働者の犠牲の下で株主が恩恵を受け、それがこの国に多大な社会的影響を及ぼした」と主張した。

企業側も株主利益を優先する事を重視し過ぎたとも、米誌フォーブスがボストンで開催した会議で発言しており、極めつけには、目の当たりにすれば、フリードマンでさえ自分の考え方を再検討するだろうと述べた。

天才から発せられる矛盾と米株価への懸念

因みに、このジョーンズ氏の資産は31億ドル相当とブルームバーグ・ビリアネア指数で弾き出されている富豪であり、何十年も澄んでいたコネティカット州から所得税のないフロリダ州に転居している。

加えて昨年、従業員の15%をレイオフ(一時解雇)したという事にあり、まさに格差創出の一角を担っているとも言えるだろう。何よりジョーンズ氏は、従業員や消費者、地域社会、投資家の扱い方に応じて企業をランク付けする非営利団体「JUSTキャピタル」の支援者でもある。

ジョーンズ氏は元々、先物トレードの「天才」と誰もが認めた程の人物であり、ハーバード・ビジネス・スクールに受かりながら「今から学ばなければならないことは何も無い」と思い直し、入学を辞退したのは有名な話である。

綿花の先物取引で天才ぶりを発揮し、5年以上に渡り、年平均99%超という脅威のリターンを叩き出していた。スタイルとしては、マクロ経済データを重視したトレードで、徹底したリスク管理を行い、エリオット波動を重視したスイングの逆張りを基本スタイルとしている。

2017年に入ってからは、経済規模に対してあまりにも高い株式時価総額に警鐘を鳴らしており、米株式相場が今年の秋に著しい調整に見舞われるとの見通しを明らかにしている。

これらを見ていると、ジョーンズ氏の米企業の利益至上主義による格差創出に対する懸念は、米株価の高水準の推移への恐怖から産まれているいるものと考察出来る。

恐怖を感じつつも、「ショート(売り持ち)」にする時期はまだ到来していないとの見方も示しているところからも、昨今の向かい難い相場を憂いているのかもしれない。

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