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ドイツの経済成長の行方と政治的空白の影響

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2017年度の好調は予想外だった

ユーロの経済成長が加速した2017年は、世界的にみても想定外のことであったと言えるだろう。格差の縮小や投資回復にも影響が見られ、ユーロ圏のGDP予測のコンセンサスも2%を超え、世界金融危機後もっとも高い成長率となる可能性が高い

実際、堅調な販売が製造業の設備稼働率を一段と高めていることが、企業投資の拡大につながっているのではないだろうか。ドイツはこれまで2017年の成長率の見通しを1.9%としているが、上回る可能性が高いと言えるだろう。

当初は、国政選挙が相次ぎ不確実な経済活動に影響を及ぼすのではないかと懸念されていた。各国の国政選挙では、EUの統合を支えている既存政党への支持率低下が確認された。

しかし、主要国で反EUの政党派による政権拳握まではいかなかったのである。このようなことから、経済活動の加速がみられたのではないかと言われている。

ただ、2018年もそう上手くいくかといったら疑問が浮かぶ。政治的な不確性が気になる中、ドイツの新政権発足に向けた取り組みは確実視されている。

政治的空白で様々な問題解決が困難に

これまで、メルケル氏の首相4選が確実視されていたが、最近になってメルケル氏率いる保守与党と自由民主党、緑の党の連立協議が決裂した。この決裂は、欧州改革が大きく前進する可能性が低くなってしまったことを意味する。

今後、ドイツの政治的空白が解決されなければ、ユーロ圏の統治改革やEU防衛協力拡大、新たな移民対策の取りまとめなど、合意の目途が立っていた問題であっても解決は困難になるだろう。

万が一、再選挙の実施となれば、新政党発足する来年夏までは他の欧州諸国は協議することもできない。

そのころまでには、アメリカのEU離脱交渉でも重大な時期に入ると予想され、長期的なEU予算を巡る議論を準備しつつ選挙への態勢も整えていく必要がある。

欧州諸国では選挙結果発表から新政権の樹立までの政治的空白の長期化は珍しいことではない。しかし、政治的空白の期間も、これまで好調になってきた景気が急に悪くなるような展開とはならないだろう。

EU改革と景気の相互性

スペインやオランダは、政治的空白が続いた2016年も経済成長を続けた。ドイツの政治空白も景気拡大に水を差すような事態にまでなることは考えにくいというのが実態だろう。

その一方で、EUの盟主の政権基盤の弱体化が懸念される政治空白は、EUの改革を滞らせてしまう可能性が高い。しかし、EUの改革は急がれているのも事実だ。

アメリカのTPP離脱や難民とテロ問題、加盟国に広がっている懐疑主義とポピュリズム、ユーロ圏を構成している国々と中東欧の新規加盟国との亀裂やアメリカ第一主義など、多くの課題への対応が急がれる中、政治空白は避けたい。

2019年に入ると、アメリカがEU離脱、6月には欧州会議選挙となる。そのため、2018年はEU改革の正念場となるだろう。こうした中で、取り組むべきEUとユーロ制度改革にドイツが背を向けることはないと言える。

ただ、連邦議会選挙によってドイツ国内における世論の分断が浮き彫りとなり、より内政に重点を置く必要が出てきているのも事実だ。

ユーロ圏は債務危機への対応によって、財政や銀行危機の未然防止や危機管理の仕組み構築に備えるようになっている。

世界的な景気拡大や低インフレ、企業業績の好調が背景にある適温相場崩壊のリスクなど、ユーロ圏が深刻な影響を受けると懸念されるリスクは低下したと言えるのではないだろうか?

しかし、ユーロ制度改革の好機である2018年を逃せば、そのリスクが再び熱を帯びる可能性も否定できない。

将来的に不安を招かないためには、来年度のドイツの動向に注目しておく必要がある。

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