欧州で貧困層が拡大している実態と必要な対策

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欧州の貧困層は増え続けている

イタリアをはじめとする欧州では、近年貧困層が急拡大しており、大きな問題となっているのをご存じだろうか。

 

今月選挙を控えているイタリアでも貧困層が草刈り場になっており、中道右派政党である「フォルツァ・イタリア」を率いるシルビオ・ベルルスコーニ元首相と5つ星運動の党首ベッペ・グリッロ氏がともにベーシックインカム導入を訴えている。

ベーシックインカム導入

ベーシックインカムとは、貧困層に毎月金銭的な援助を行うというもので、日本でも社会保障制度の枠組みの中でとりいれられているものだ。貧困層と言っても、その対象となる人々全員が悲惨で苦しい生活を送っている訳ではない。

 

だがその大半が困窮しており、イタリアでは貧困層が選挙結果に与える影響も大きくなっている。イタリアにおける貧困層は、全人口の約8%にもなり、およそ500万人近くが生活必需品すら購入できずにいる。

 

また、このような貧困層の数もたった10年で3倍にまで膨れ上がっているのが実態なのだ。欧州全体で見ると、1億1750万人域内人口のおよそ4人に1人が貧困層に転落するか社会的に疎外される危機に陥っているという。

 

欧州全体でも拡大

2008年以降、貧困層や社会的疎外を受ける人の数はイタリア・スペイン・ギリシャなどにおいて600万人もの人々が押し上げられており、フランスやドイツでも貧困層が人口に占める割合は20%近くまで高止まりしている。

 

リーマンショック以降、貧困層転落のリスクも全般的に高まっており、近年では年金を除く社会保障給付がカットされただけでなく、既存従業員の雇用を守るために新規採用を犠牲にする労働市場のあり方にも問題視されている。

 

実際、2007年〜2015年に欧州において18歳〜29歳の若者が貧困化するリスクが19%から24%にまで上昇しているのだ。

若年層の貧困化リスクも高まる

しかし、最近の景気拡大によって若者の貧困化リスクは多少なりとも緩和されているのではないだろうか。

 

ただ景気拡大によって一時的に貧困化リスクが緩和されても、構造問題そのものが解決された訳ではない。今後失業が長期化することになれば、その人の職業スキルは取り返しのつかないところまで劣化してしまうだろう。

 

また急速に発展するテクノロジーの進化によっても、労働者の能力が時代遅れになる可能性もあるのだ。最悪は失業して以降の再就職が非常に困難になるか、低賃金で不安定な仕事に甘んじることにもなりかねない。

 

貧困層が再び社会で自立できる日は来るのか

累進課税や給与の上限を新たに課すサラリーキャップなど富の再分配を通じて不平等に対処する手段もあるが、貧困の撲滅においては再分配以上の対策が必要不可欠でもある。

 

貧困層が世の中に再び居場所を得て活躍できるような支援が早急に必要なのだ。政情の安定や経済の公正さばかりに目を向けるのではなく、人間の尊厳についても議論されるべき項目ではないだろうか。

 

求められる福祉国家モデル改革

欧州は福祉国家モデル改革が必要になってくると考えられる。

 

実際、欧州の高齢者は経済的弱者という位置づけがされているものの、一番の経済的弱者でないことも確かであり、未だに社会保障給付で最大の分け前を手にしているという実態もある。

 

欧州各国政府は、老齢年金をカットし、貧困層や失業者・若者への配分を増やすべきではないだろうか。

 

背後にある構造問題

ベルルスコーニ元首相とグリッロ氏がともに掲げているベーシックインカムでは少しばかりの対策でしかなく、貧困層の厳しい懐事情の背後にある構造問題が解決するわけではない。

 

そもそもベーシックインカムは、失業者が職を探したり職業訓練を受けたりするのを後押しするものではないため、貧困層が永遠に公的給付に依存して生きていく状況を生み出しかねないのだ。

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