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製造業・非製造業における労働分配率はなぜ低下しているのか

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特定企業の労働分配率の低下

近年、特定の企業における労働分配率の低下が著しいということを知っているだろうか。

これは、米国の労働分配率が1982年〜2012年までの30年間で低下していることが要因の一つであり、特にIT企業に多いのが特徴だ。

少ない人員で大きな収益を上げるGoogleFacebookAmazonなど、いわゆるスーパースター企業がマクロな視点から見ると労働分配率低下の要因となっているのだ。

また、このような大手企業のシェアの高まりは多くの国で生じていることから、スーパースター企業が1人勝ちするような技術革新の結果ではないだろうか。

これが労働分配率を低下させ、高めの経済成長率である一方で賃金上昇率が伸びないという各国経済の共通問題の原因という見方が有力だ。

 

実際、過去に比べてもスピードはないが、トレンドとしてGDPは増え続けている

しかし、それ以上に一部の富裕層がその成長の結果を手にしているということも事実だ。

平均的な家計の所得としては、富裕層と比較してもあまり増えていないということだ。

 

日本の労働分配率低下と製造業・非製造業の比較

平均的な家計の所得の伸びが見られないということに対して、閉塞感や経済状況への不満を生みだすことにもつながる。

またウォール街占拠運動やトランプ大統領の誕生につながったと言っても良いのではないだろうか。

スーパースター企業の考え方についても、こうした動きに資本側からでなく労働に分配される割合を示す労働分配率の観点から注目されるものである。

 

これは日本であっても同様で、労働分配率の低下が生じており、技術革新の影響で大きなマーケットシェアを手にしたスーパースター企業が労働分配率の低下につながっているのだ。

 

実際、法人企業統計調査の資本金10億円以上の企業の売上高比率と労働分配率の関係を分析し、製造業・非製造業として分けて考えると、製造業では業種ごとの大企業の売上高比率と労働分配率に一定の関係が見られたのだ。

つまり、製造業は大企業の売上高比率が高ければ高いほど労働分配率が低くなる傾向があり、スーパースター企業の存在が労働分配率の低下を促している可能性があることがわかるのだ。

 

その一方で、非製造業においては両者の関係はないように考えられる。

ただ、労働分配率の低下の要因としては、情報通信技術関係機器の急速な価格低下を背景にした資本コストの相対的な低下、貿易やアウトソーシングの影響、労働組合の組織率や最低賃金の実質的水準の低下や社会規範、労働市場制度など様々だ。

 

製造業・非製造業の違いと労働分配率低下の要因

非製造業では、大企業売上高比率と労働分配率との関係はなさそうであると見られる一方、日本の労働分配率は非製造業においても低下傾向にあるのが実態だ。

 

製造業と非製造業の違いとしては、日本の内需の低迷が非製造業び労働分配率を大きく下げている要因ではないだろうか。

生産財の輸出で事業の拡大を図りやすいと言える製造業は、技術革新における資本コスト低下が攻めの設備投資の増加の影響をもたらしやすい。

よってスーパースター企業が生まれる可能性も少なくないが、内需への依存度が高い非製造業はそうもいかない。

非製造業においては、確度の高い内需低迷の要因は人口減少であり、事業を拡大させるための設備投資は限定される。

また、大企業の売上高比率は非製造業に全体でも上昇が見られない。

同じ理由で先行きも期待を持ちにくい非製造業では固定費削減のため、賃金水準の低い非正規雇用が増加しているのが実態だ。

こうした傾向も、労働分配率を低下に導く要因になっている。

 

ただ、スーパースター企業における労働分配率低下という課題がある中で、経済規模を拡大させているという面も当然あるのも事実だ。

経済にとって見れば、内需低迷はマイナスである。日本の内需低迷における対処としては、今後も大きな課題になるだろう。

日本政府の打ち出す政策へも注目が集まるに違いない。

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