コインチェックを買収したマネックスの思惑とは?

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こんにちは、シルバーホークです。

早速本日の市場概況と、昨日の記事冒頭で触れたコインチェックがマネックスの出資を受け入れる方針を固めたニュースについて考察していきたいと思います。

4月6日のNY株式市場概況

6日のNY株式市場は大幅な反落となりました。主な要因は、米中貿易戦争への警戒感が再燃した事によります。トランプ大統領が1000億ドルの対中追加関税を指示し、中国商務省も報復措置を示唆していました。

 

因みに、注目されていた米3月雇用統計は強弱まちまちで、非農業部門雇用者数が10.3万人増と、市場予想の19.3万人増を大きく割り込んだものの、平均賃金が前月比で0.3%増と、市場予想の0.2%増、および前月の0.1%増を上回つ事となりました。

 

市場のボラティリティが高まる中、パウエルFRB議長が従来通り利上げを続けるとした事も投資家のマインドをい下げる事となりました。

 

100ドル以上下落してスタートしたダウ平均は、午後には一時767ドル安まで下げ幅を広げる場面も見られました。クローズは572.46ドル安(-2.34%)。

 

個別では、キャタピラー、インテル、ボーイングが3%超の下落となりました。S&P500が2.19%安、ナスダック総合が2.28%安となり、主要3指数がそろって4日ぶりに大幅反落する事となりました。

 

因みにウィークリーベースでも、ダウ平均が0.71%安、S&P500が1.38%安、ナスダック総合が2.10%安とそろって反落した事となっています。

 

パウエルFRB議長は「漸進的な利上げは米国経済のリスクを抑制する」「関税引き上げが景気見通しにどのような影響を与えるかの判断は時期尚早」とし、一部で期待された市場変動への配慮を匂わせるような発言はされませんでした。

 

好調なNY市場に対し日経平均は

NY市場がこのように軟調な展開であったにもかかわらず、前場の日経平均は小幅に反発となりました。オープン直後は下落するも小幅にとどまり、早々に上昇に転じていました。

 

ただ、不安定な相場環境が続く中で上値も重く、上げ幅を広げれば戻り売りに押され、下げ幅を広げれば押し目買いが入るといったプラス圏とマイナス圏を行き来を繰り返す展開。

 

しかし後場には、買いの勢いが強まり上げ幅を3桁に広げる事となりました。地合いの改善を受けて値上がり銘柄の数も増え、3桁の上昇を維持しながら高値圏で引けています。

 

業種別では水産・農林、パルプ・紙、保険などが上昇、石油・石炭、ゴム製品、鉱業などが下落となりました。

 

コインチェック買収の一件で連日大商いが続くマネックスグループが、本日は大幅高。売買代金は全市場のトップ(ETF除く)となりました。

 

マネックスグループとは

マネックスグループHPより

マネックスグループHPより

マネックスグループは、ネット証券大手の一角です。香港、米国等でネット証券を展開しており、現在も企業基幹系システムの内製化を順次拡大しています。

 

マネックスグループといえば、NEMの流出事件で世間を騒がせていたみなし仮想通貨交換業者であるコインチェックの買収報道で昨今注目を集めている会社ですね。

 

4月6日には、マネックスグループの松本大CEOと取締役常務執行役の勝屋敏彦氏が、コインチェックの和田晃一良社長、大塚雄介取締役と伴に都内で記者会見を開き、コインチェックの子会社化正式に発表しました。

 

本日のマネックスグループの株価の躍進の材料という事ですね。マネックスグループはコインチェックを買収する理由としては、やはり仮想通貨市場の大幅な伸びにあります。

 

現に会見では、松本社長が「仮想通貨は大変重要な資産クラスだ。仮想通貨全体の時価総額が50兆円まで伸びたことは無視できない」と述べていました。

 

先日のNEM流出事件において盗まれるリスクについては、「他の資産もそれは同じ」という見解を示し、「金よりも軽く、支払い手段としても、資産をキープする手段としてもメジャーになっていくことは間違いない」とそれ以上の利点がある事を強調しています。

 

たしかにコインチェックは、仮想通貨交換ビジネスにおいては世界的にも”先駆者”であるというブランドもあります。

 

しかしコインチェックは、現時点で仮想通貨交換業者への登録を申請中の「みなし業者」という立場です。

 

NEM流出事件後は、金融庁が審査はより厳格化し、新規登録に時間がかかるという懸念を起こしています。このようなコンプライアンス面などにおいて、金融業界の既存の枠組み内で成長するためには「マネックスグループが手伝えることは多い」というのが松本CEOの主張です。

 

長く証券会社を運営してきたからこそ有するセキュリティ対策などにおけるノウハウを生かすという事であり、「仮想通貨ビジネスの未来は強く大きい」という事をマネックスグループが大いに見込んでいる事に他なりません。

 

コインチェック買収によるマネックス側のメリット

もう少し現実的な話をすると、コインチェックを買収する事にはマネックスグループに下記のような大きなメリットがあると言えるでしょう。

  1. まずは仮想通貨市場に参入出来る。
  2. システムを1から構築しなくてよい。
  3. 既存顧客の存在。

ネット証券の中でも、下記のように「1.まずは仮想通貨市場に参入出来る。」を既に果たしている会社は存在しています。

  • SBIホールディングス
  • GMOフィナンシャルホールディングス
  • DMM.comグループ

また、下記のように1の準備を現在進めている会社もあります。

  • 楽天
  • カブドットコム証券
  • 松井証券

上記以外にも、仮想通貨市場にこぞって参入してくる事は明白と言われています。これらの会社の殆どは、FX(外国為替証拠金取引)のトレードプラットフォームの提供を行っています。

 

しかし、近いうちに行われるとされているレバレッジ上限引き下げが、FX業者の大きな懸念となっています。

 

したがって敷居の高くなるFXに代わり、多くの顧客がビットコインに流れ込み、2018年は仮想通貨ビジネスがネット証券の主戦場になるとまで言われています。

 

そのような中で、コインチェックのNEM流出事件は、仮想通貨市場の参入を検討していたマネックスグループにとっては好都合の事件だったと言えるでしょう。

 

普通に仮想通貨の取引・交換システムを一から構築しようとすると莫大なコストが掛かります。

 

しかし、既にシステムを有しているコインチェックのような既存の交換業者の買収する事で、「2.システムを1から構築しなくてよい。」が実現する事となり、大幅なコスト削減を実現する事が出来ると事になります。

 

また仮想通貨市場において、世界的に先駆的な存在であるコインチェックは、NEM流出事件後の現在でも膨大な「3.既存顧客の存在」を有しています。

 

これらがそのままマネックスグループに寄与する事となり、マーケティングという点において、非常に有利であると言えるでしょう。

 

一方で、コインチェックは仮想通貨交換業者への登録を申請中ではありますが、流出事件後、金融庁の審査はより厳格化している事もあり、交換業者登録をしても出来なくなる可能性も考えられます。

 

そうなれば利益が出なくなるため、株式の買い手と売り手の間で見方に大きなギャップが出ます。

 

それにより、将来、買い手が狙う利益目標が達成された際に、追加額が売り手側に支払われるという手法でギャップを解決する「アーンアウト」という手法が、今回マネックスグループに採用されています。

 

つまり、買収額については36億円と発表されており、その額は小さく見えるものの、コインチェックの今後の業績予想が難しいため、リスクも大きいという見方がされています。

 

アーンアウト条項が定められているため、実際の買収額はこれにとどまらない可能性が高いという懸念がされているという事ですね。

 

マネックスグループの株価推移を考察

まず今回のコインチェック買収報道の前に、マネックスグループは1月31日の立ち合い中に2018年3月期の3Qの決算発表を行いました。第3四半期累計の連結税引き前利益は前年同期比6.9倍の54.3億円に急拡大。

 

連結純利益は前年同期比11.6倍という大幅増益です。3Q単体でも連結税引き前利益は前年同期比3.5倍の24.2億円に急拡大しています。さらに自社株買い、さらに仮想通貨の情報提供などを目的に「マネックス仮想通貨研究所」を創設したことも明らかにしています。

 

この時期はまだ、コインチェックの買収に関する報道はされていませんでしたが、それ以前にマネックスグループが仮想通貨市場への参入に意欲的であった事がよく分かります。

 

不謹慎な言い方を再度しますが、マネックスグループにとって、コインチェックのNEM流出事件は本当に「好都合」だったでしょう。(2回目)

立ち合い中にこれらの好感的な報道を成されたため、1月31日のマネックスグループの株価は急伸。

 

しかし上昇は継続せず、徐々に下降波を形成しながら値を落としていきます。最終的に3月22日に75日移動平均線を下抜け、直近安値となる3月26日まで売り落される事になります。

 

コインチェック買収直前の値動き

この間にマネックスグループ関連で報道された事と言えば、マネックスグループの松本大社長、LINE元社長の森川亮氏ら国内の有力経営者が、次世代を担う起業家育成のためにニューヨークを本拠に世界27カ国に展開する起業家支援組織「エンデバー・グローバル」の日本法人を立ち上げたという事位でしょうか。

 

ただこの報道が、株価に影響するような材料になるとは考え難いですね。これは憶測ですが、マネックスグループがコインチェックを買収する事を、報道前に水面下で知っている一部の関係者が、株価を安く買い拾うため、売り落しを行ったのかもしれませんね。

 

株価が急伸し得る材料が発表される前には、株価が大きく売られるという場面はよくある事です。3月26日から最初のコインチェック買収報道がされた4月3日の間の値動きは、まさに目立たないように段階的に株式が買われている様が見て取れます。

 

4月3日の急伸時はストップ高で引けるも、その時の値幅上限が1月31日の急伸時と同様であったため、翌日の延伸について懐疑的な意見もありました。結局は延伸するも、買収価格をはじめとした様々な思惑から、4月5日には反落しています。

 

報道後の値動き

この反落に関しては、コインチェックという不透明さの多い企業を買収するというマネックスグループのリスクを懸念を助長させ、世間でも話題となっていました。

 

しかしテクニカルで見れば、連続した大幅上昇の調整利益確定等の調整に過ぎず、5日移動平均線の水準で下げ止まっています。

 

またこの頃には、翌6日に子会社化の正式発表がされる事も判っている人達もいるでしょうから、上昇した4月4日に一旦利益確定をした後、売り落して再度安いところで買い拾おうとという動きがあったのかもしれません。

 

案の定、4月6日の子会社化の報道により株価は急伸。週明けの4月9日には溜まった買いを一旦吐き出した感じもありますが、この日のマネックスグループの株価は、2008年の世界金融危機以降では最高値を更新しているので、上値余地はまだまだ残されているという事になります。

 

マネックスグループの業績面を考察

マネックスグループには、主に3つのセグメントがあり、それぞれの特性の説明に加え、2018年度3Qにおいて、これまでの経過を挙げています。

 

日本セグメント

  • 特性
    主にマネックス株式会社が主体となり活動。
    中長期での資産形成を志向する個人投資家が主要顧客。
    株式市場での個人投資家の売買動向が影響。
  • 経過
    株式等の平均株式委託手数料率の低下するも平均委託売買代金、および受入手数料が増加。
    FXの取引金額の減少によりうトレーディング損益が減益。
    マネックスベンチャーズ株式会社の投資先の上場による有価証券売却益の発生。
    新証券基幹システムを他社にライセンス供与した事による収益の発生。
    旧基幹システムの事務委託契約を全連結会計年度に終了している事により、システム関連費用、人件費が減少。

 

米国セグメント

  • 特性
    主にTrade Station Group,の子会社である Inc.Trade Station Securities, Inc.が主体となり活動。
    アクティブトレーダー層が主要顧客。
    市場のボラティリティの強弱による取引量の増減が影響。
  • 経過
    低水準のボラティリティにより取引量が減少するも、受入手数料は増加。
    運用商品の見直しや短期金利の上昇による受取利息の増加。
    日本株取引ツールを日本セグメントに販売した事による売り上げ収益、売上原価の縮小。
    新証券基幹システムを他社にライセンス供与した事による収益の発生。
    有価証券貸借取引費用の増加。
    支払手数料、人件費が減少。
    情報量の増加。

 

アジア・パシフィックセグメント

  • 特性
    主に香港が拠点のMonex International Limitedの子会社であるMonex Boom Securities Limitedが主体となり活動。
    豪州のMonex Securities Australia pty Ltdが、2018年1月からオンライン証券ビジネスをスタート。
  • 経過
    株式委託売買代金の増加による、受入手数料の増加。
    マージン取引に掛かる貸付金の減少による金融収益の減収。
    株式取引の増加による取引関係費用、オンライン証券ビジネス開始ための先行投資のための販売費、一般管理費の増加。
    中国本土のジョイントベンチャーの持分法による投資利益が黒字転換。

マネックスグループの業務の特性上、業績は市場動向に大きく左右されるため、2018年度の業績予想は示されていません。

 

ただコンサンセスでは、低ボラティリティによる取引量減少による減収、先行投資等の費用を2017年3月期での消化、およびそれらからの利益還元を見込み、特に利益面では大きな反発が予想されています。

 

2017年3月本決算

売上高 45,831百万円
営業利益 非公開
経常利益 1,071百万円
純利益 298百万円
1株利益 1.06円
配当 5円

2018年3月本決算コンサンセス

売上高 48,450百万円
営業利益 非公開
経常利益 5,150百万円
純利益 4,050百万円
1株利益 非公開
配当 非公開

参考指標

時価総額 137,011百万 PER 32.91
発行済株数 270百万 PBR 1.60
最低購入代金 48,900 ROE 0.36
単位株数 100 EPS 14.86
売上高成長率 +4.73% BPS 306.02
経常増益率 +460.2% 1株配当 6.30
最終利益変化率 +999.9% 配当利回り 1.29%

5月中に発表されるであろう2018年3月期の予想について、マネックスグループ側からの提示が無いため、いくつかの指標は曖昧なものとなっています。

 

現時点で示されている数字だけ見ると、PERは割高、PBRに関してもやや割高ですね。配当利回りは、現時点ではマネックスグループが属する東証1部の平均から見ると、やや低いといったところですね。

 

先述のとおり、2017年3月期はオンライン証券ビジネス開始ための先行投資費用などが嵩んでいましたが、2018年1月からスタートした事、さらに2018年3月期の3Qにおいては、中国本土のジョイントベンチャーの投資利益が黒字化している事もあるため、コンサンセスの強気な見解も頷ける気がします。

 

まとめ

マネックスグループは、2017年度まで先述のような様々な準備を経て、2018年度から還元されてきているという印象を受けます。

 

したがって、2018年度以降の業績の回復は見込めそうなところですが、2018年度もコインチェックの買収という非常に大きい案件を抱える事となりました。

 

これはNEM流出事件という突発的な事件が起こったため、仮想通貨市場参入を目論んでいたマネックスグループにとって、見送る事の出来ないチャンスだったのでしょう。

 

先述のコインチェック買収におけるメリットにもう一つ付け加えると、スキャンダルにおよって世間の信用を堕とした企業というものは、通常より安く買いたたきやすいものです。

 

もしかしたら、マネックスグループの中期的戦略からは外れた事かもしれませんが、それであってもここで着手しないわけにはいかなかったでしょう。

 

みなし仮想通貨交換業者、流出事件を起こしているため、実情が判り難いコインチェックですが、仮想通貨市場参入を目論んでいたマネックスグループにとっては、受け入れる価値のあるリスクであったと考えられます。

 

この子会社化後の進捗が、今後のマネックスグループの株価動向にも大きく影響してくる事は想像に難しくありません。

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