マイホームが持てない…イギリスのミレニアル世代に広がる将来の不安

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ミレニアル世代の経済感覚

1980年代〜2000年代初頭までに誕生した人を「ミレニアル世代」と呼ぶことは知っている人も多いだろう。初のデジタルネイティブ世代とも呼ばれており、価値観や経済感覚などは他の世代と異なる部分が大きい。そんなミレニアル世代だが、イギリスでは賃金が低下し、住宅所有率も大きく低下しているという。ただ、学歴は大幅に高くなってきているというのだ。

このような変化は、ミレニアル世代の感じ方・行動が前の世代と違いがある、というだけではなく、経済そのものの形が代わりつつあることを示している。例えば、年金や住宅、雇用情勢が変化してきたことで、ミレニアル世代には大きな不安が纏わりつくようになっていた。

特に南ヨーロッパにおける労働市場の制度が変わったことにより大きな影響を与えている。非正規雇用を拡大させ、労働者の賃金・休暇に対してある程度の待遇を確保しつつ、規制緩和の実施が行われたのだ。

この労働市場における変化がミレニアル世代に大きな影響を与えたことは言うまでもない。今まで終身雇用で正規社員として働けていたものが、非正規雇用の拡大によって将来住宅ローンなどの支払いができない可能性が高いという不安を抱いてしまう。そのため住宅所有率の低下につながってしまっているのだ。

雇用市場の変化が若者に不安をもたらしている

ミレニアル世代は将来への漠然とした不安を抱いており、現在の安心材料を求めていることはデータからも見えてくる。例えば、イギリスのシンクタンク「レゾリューション・ファウンデーション」が行った調査では、若者の転職回数が減少傾向にあり、また仕事のために新しい土地へ引っ越すことも減ってきているという。

通常、賃貸住宅で一人暮らしの人は移転しやすいのだが、実際は仕事のために別の地域へ引っ越す人は2000年以降約20%も減っているというのだ。ミレニアル世代としては、勤務地や住宅が変わってしまうこと、そして身内のサポートが受けられない範囲に移動することが不安につながっていると考えられる。

安心感を得るための用心は合理的ではあるものの、経済の観点からするとあまり良いこととは言えない。賃金を確保する最も効率の良い方法は勤務先を変えることであり、雇用市場の流動性が落ち込んでしまえば同様に生産性を生み出す場所に引っ越す人も減るということにつながる。

皮肉なことにミレニアル世代は多くのチャンスを持つ世代でもある。高い学力を持ち合わせる彼らは、自宅でもどこでも起業することは可能なのである。しかし、リスクを取れるのは頼れるものがある場合であり、不安定な雇用市場・経済の中で生きる彼らには安心に縋り付くしかないのだ。

親の資産は頼れない

イギリスで働く自営業者の多くが賃貸ではなくマイホームに住んでおり、しかもそのマイホームが50万ポンド以上とかなり高い価値の住宅を所有していることが多いということが分かっている。若者の中にはこうした資産を相続することができるという安心感を得ている人も多い。

しかし実のところその人が優秀であるか、懸命に仕事を頑張ってきたかなどは一切関係なく、親が家を持っているかどうかによって決まってしまう部分は大きい。どういうことかというと、既にマイホームを持つミレニアル世代の8割以上は親もマイホームを持っており、逆にマイホームを持っていないミレニアル世代の中で、親がマイホームを所有している割合は半分以下となっている。

親の資産が頼りにならない以上、イギリスのミレニアル世代は自分からリスクを取りに行かなければ様々なチャンスを逃してしまうと言える。ただ、ミレニアル世代がリスクを取りに行きやすい環境を整備するのは政府の役目である。今の環境でイギリスのミレニアル世代がリスクを取りに行く可能性は極めて低いと言えるだろう。

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