厳しい状況でも「基本的な運営」をする事で巻き返す愛眼の強さとは?

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こんにちは、シルバーホークです。4日のNY株式相場は大幅高となりました。

5月4日の米国、5月7日の東京株式市場概況

注目の雇用統計が強弱まちまちの結果であった事や、米中通商摩擦懸念、イラン情勢への警戒感など背景に売り優勢でスタート。

しかし、バークシャ・ハサウェイが1-3月期にアップル株を数百万株買い増ししていた事が明らかとなり、投資家心理が大きく好転。アップルが3.92%高となり、相場を牽引する恰好となりました。

このほか、1-3月期の業績が市場予想を上回ったCBSが9.09%高でS&P500の上昇率トップとなったほか、同じく決算が好感されたアクティビジョン・ブリザードも4.52%高となりました。

投資家の不安心理を示すVIX指数も14.77ポイントと前日比で1.13ポイント低下。3月9日以来の15ポイント割れとなりました。

S&P500のセクター別指数は、情報技術を中心に全11業種が上昇しました。4月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったものの、失業率が3.9%に低下し予想の4.0%を下回る強い結果となりました。

ダウ平均は151ドル安まで下落する場面もありましたが、332.36ドル高(+1.39%)と大幅に反発してクローズ。S&P500が1.28%高、ナスダック総合は1.71%高と3日ぶりの反発となりました。

ウィークリーベースではダウ平均が0.20%安、S&P500が0.24%安とともに2週にわたる続落となったものの、ナスダック総合においては1.26%高で反発しています。個別では、ネットフリックス(+2.70%)、エヌビディア(+2.61%)、アルファベット(+2.41%)などが軒並み高となりました。

一方、連休明け7日の東京市場の午前の日経平均は続落となっています。寄り付きは買い優勢でスタートしたものの、円安が一服した事で早々にマイナス転換。値動きの悪さから断続的に売られる格好となり下げ幅を広げました。3桁マイナスとなるあたりでは押し目買いも入り下げ渋ってはいるものの、戻りは鈍く、安値圏で前引けしています。

東証1部の売買代金は概算で1兆1200億円。業種別では石油・石炭、電気・ガス、鉱業などが上昇。対して、証券・商品先物、保険、精密機器などが下落しています。個別では、前期の業績見通しを大幅に上方修正した愛眼がストップ高。その反面、3Q累計では大幅増益となったものの、通期見通しを据え置きとした事で、材料の出尽くし感が強まったアイスタイルが大きく売られる展開となっています。

愛眼の概要

愛眼は大阪府大阪市天王寺区に本社を置く眼鏡・コンタクトレンズ・サングラス・その他関連商品を取り扱う眼鏡専門店「愛眼」をチェーン展開で販売している企業です。

関西を地盤に直営店やフランチャイズ店を全国に展開し、中国にも進出しています。眼鏡の卸・小売業では業界4位で、店舗の立地はショッピングセンター内が6割を占めています。

薄型非球面レンズでも、薄型遠中近レンズでも、表示価格でメガネができる「スマートプライス」が特徴的ですね。現在は、楽天市場にも出店しています。

愛眼は元々、眼鏡の卸売企業として、1941年に佐々栄商店として創業。1965年に子会社として株式会社のメガネの愛眼を設立しました。その後、1987年に吸収合併を行い、現在の愛眼株式会社が設立され現在に至ります。

現在は眼鏡小売部門が主力事業となっており、積極的に仕掛ける姿勢を保っているのが特徴と言えます。いわゆる多様化するニーズに対応するために仕掛ける、企てる、誘惑するという3つの要素を重視して経営に取り組んでいう事ですね。

特に愛眼は、眼鏡を購入する楽しみを顧客に実感させるため、カウンセリング販売の強化に余念がありません。それが功を奏してか、実際に愛眼のファンは業界の中でも根強いと言われています。

また近年では、高齢者の交通事故が増加傾向にある事から、世間が免許証の自主返納を促している事に沿い、返納者には眼鏡を割引して販売するといった事も行っており、時流に対するアンテナは高いという印象を受けます。

 

愛眼の商品はその質の高さに定評がありますが、会社側では主に3つの要素を重視しているとの事です。

光学的要素
メガネフレームのフロント(枠の部分)の傾斜角度を独自設定するなど「快適な視力補正」の提供。

力学的要素
日本人の鼻骨や頭部の骨格にあわせたデザインやパーツ選定による「快適な掛け心地」の提供。

美的要素
細分化するライフスタイルやファッションにマッチする「TPOにあったアイウェア」の提供。

「肌にやさしい」「取扱いが簡単」などの既存品への要望を実現するために、素材やパーツ、成形技術、接合技術のアップデートの追求。また、愛眼は眼鏡の小売りだけではありません。大分すると、下記のような部門に分けられます。

  • 眼鏡小売部門
    愛眼の眼鏡小売部門はメガネ専門店として快適な視力補正の提供のため、商品・技術・サービスの提供にこだわっています。
    加えて、眼鏡の個性を演出するアイテムやファッションとして、顧客のニーズやこだわりに合わせたメガネのカウンセリング販売を行っています。
    さらに、店舗開発・商品開発・プロモーションを効果的に行い、楽しいメガネ店を目指しています。
  • 眼鏡卸売部門
    フランチャイズチェーン・ボランタリーチェーンをはじめ、様々な店舗にメガネの卸業務を行っています。
    創業以来培ってきた技術・ノウハウを生かし、それぞれの店舗との最適な取引を行い、良好な取引関係を構築しています。
  • 写真館部門
    写真館部門のスタジオである愛写館は、顧客の記念日等を細やかなサービスでサポート。
    愛写館の写真は「静」と「動」をコンセプトとして、感動を提供しています。

愛眼の競合他社

愛眼の競合となる眼鏡の小売り企業は多くありますが、現時点で挙げられるのは下記の企業でしょう。

メガネトップ 静岡県に拠点を置き、メガネ・コンタクトレンズの小売り店舗を日本全国にチェーン展開している企業です。

ALOOK、眼鏡市場、FIT ME、コンタクトマン、レンズダイレクトR、R:リアルショップ、さらにコンタクトレンズ専門のオンラインショップであるレンズダイレクトを抱え、業界首位の売り上げを誇っています。

JINS

メガネ(眼鏡)の企画・生産・流通・販売までを自社で一貫して行う企業です。徹底したコストカットと大量販売によるスケールメリットと併せることで、低価格・高品質を実現。

オムロンと共同で先進医療の分野にも進出しています。若者を中心にシェアを着実に広げており、だて眼鏡を購入する人も少なくありません。

また、バリエーション豊富な眼鏡が女性の心を確実に捉えて、若い女性の市場を開拓することに成功しています。さらに、機能的な眼鏡も多く開発しており、特にPC用のブルーライトカットが大ヒット。メガネで働く人々や花粉症に悩む人から高い支持を獲得しています。

メガネスーパー メガネ、コンタクトレンズ、およびそれらに対する付属品、補聴器等の販売を事業として行っています。その他にも、眼の健康寿命を延ばすためのアイケアサービスも提供しています。

山城ホールディングス

メガネ・補聴器・コンタクトレンズの専門店を運営する株式会社三城をはじめ、メガネの専門店の金鳳堂、メガネフレームの製造を行う株式会社クリエイトスリーなど複数の企業から成るホールディングスグループです。

大規模な路面店を多く展開しており、眼鏡を買うだけではなくサービスを重視する人から高い支持を獲得しています。業績も安定しており、眼鏡業界内では盤石な経営基盤を持つ会社として世間に周知されています。

愛眼の競合他社の業績

メガネスーパーは一昨年、投資ファンドであるアドバンテッジ・パートナーズの支援の下、見事に黒字転換を果たしたことで話題になりましたね。

特に2000年代に入ってからの眼鏡業界は、商品企画から販売までを一貫して行うSPA(製造小売)事業モデルの企業による低価格化が急速に進み、市場全体の売上げが急速に縮小、且つ価格競争がより激しくなりました

1980年代に創業し、業界でも老舗と呼ばれてきたメガネスーパーも、この価格競争の波に飲み込まれて2006年以降は赤字が続いていました。

同社は顧客の6割以上を占める45歳以上のミドルシニア層にターゲットを絞り、メガネスーパーは安価な物を大量に売る市場の追随から外れ、顧客と長く向き合い生涯単価の上昇を目指す姿勢にシフト。これにより赤字からの脱却を果たしています。

対して、薄利多売を地で行くJINSは「眼鏡業界に変革をもたらした企業」でもあります。メガネ業界にSPA(製造小売)という、アパレルでユニクロなどが行い成長したモデルを持ち込みました。

フレームは中国、レンズは韓国などから調達し、デザインにこだわり破壊的な価格でメガネを売り出すことで一気にシェアを拡大したということですね。

現在は、メガネトップ、三城ホールディングスに次いでJINSは業界3位に位置しています。

メガネトップもかつては東証1部に上場していましたが、JIN等の新興眼鏡メーカーによる価格破壊で業績が厳しくなり、株価が急落した時期がありました。

これにより、2013年に創業者によるMBOでメガネトップは上場廃止となりました。業績面においても業界で独り勝ちのような状態で、JINSの決算が好調なのに対し、三城HDと愛眼の業績は赤字が続いています。

愛眼の株価推移を考察

愛眼の2017年の株価は、内容の弱かった2017年3月期の決算後は、その反動で株価は躍進する事となりました。いわゆる販管費圧縮や顧客からの支持獲得のための施策が功を奏し、上方修正が相次ぐ事になります。

まずは2017年11月2日大引け後に業績修正を発表。2018年3月期2Q累計の連結経常利益を従来予想の1億7200万円から3億5900万円に2.1倍上方修正し、増益率が2.5倍から5.2倍に拡大する見通しとしました。

この収益水準は8年ぶりの高さになると見られ、PBRの割安感なども急速に高まる事となります。これにより週明け6日にはギャップを空けて株価は急伸。そして2017年11月10日の大引け後に決算を発表。

2018年3月期2Qの連結経常利益は前年同期比5.2倍の3億5900万円に急拡大し、通期計画の1億7700万円に対する進捗率が202.8%と既に上回る事となりました。

愛眼側が発表した上期実績と据え置いた通期計画に基づいて、当社が試算した下期の連結経常損益は1億8200万円と赤字幅が拡大する計算になります。

2018年3月期2Qの連結経常利益は前年同期比88.6%増の2億4900万円に拡大し、売上営業利益率は前年同期の2.7%から5.3%と大幅に改善しています。

ここから愛眼の株価は快進撃となり、2017年12月3日には日証金が2018年1月1日付から、愛眼株を貸株利用など貸借取引で注意喚起銘柄に指定すると発表された事により買いが加速。

貸借取引の規制強化に伴って、売買の自由度が制限される事による煽りが入りました。この頃になると愛眼の株価は2008年9月以来の高値圏に浮上ています。市場は業績好調の内需小型株と同社を見ており、買いが続いている模様。

株価は2018年3月期上期の業績の上方修正を発表した11月2日を起点に2倍超に跳ね上がっています。上期実績は通期計画を既に2倍も上回っており、通期決算の業績も上振れが確実となっていました。

しかし愛眼は2017年12月14日に高値を付けその後急落。

一旦は高値近くまで戻す場面もありましたが、結局は2018年1月10日に一目均衡表の転換線と基準線でデッドクロスを形成し、1月24日には雲を下回る事となります。

この時期は愛眼も日経平均の下落に巻き込まれており、殆ど切り返す事もないまま2018年2月5日から急落し、日経平均とほぼ同じ2018年2月14日に安値を付けています。

その後は、ほぼ目立った材料も動意も無かったところでしたが、2018年5月7日には愛眼の株価はストップ高となる538円で張りついています。

この急伸は、2018年5月2日の取引終了後に、集計中の2018年3月期業績について、営業利益が従来予想の9400万円から2億3900万円へ、純利益が6800万円から1億8100万円へ上振れて着地したようだと発表された事によります。

閉店店舗の増加や低価格帯商品の販売数量の減少などにより、売上高は従来予想の166億5900万円から163億4400万円に下振れたものの、改装計画の見直し、不採算店舗の閉店や広告宣伝費の削減など、ここでもやはり販売費および一般管理費削減への取り組みが利益率の押上に貢献しています。

また、業績予想の修正に伴い従来未定としていた期末一括配当を3円にすると併せて発表されました。これが2期ぶりの復配予定という事になり、市場は好感しています。

翌8日はさらにギャップを付けて始まるも2017年12月14日を高値基準とした1/3戻しの水準に阻まれ一目均衡表の雲の上限まで下落し引けています。

愛眼の業績面を考察

愛眼は、直近の決算である2018年3月期3Qまでの推移について、主に下記のように挙げらています。

  • 既存店の客数は前年同四半期比で若干増加。
  • 商品の品揃えの拡充により販売単価が改善し増収。
  • サングラスは夏場の天候不順の影響もあり、前年同四半期比では僅かながら減少。
  • 補聴器はレンタルサービスとアフターケアが好評を得ており順調に推移。
  • 3店舗を出店、2店舗を閉店したほか、計画的な既存店の活性化を進め、12店舗で改装を実施。
  • 眼鏡卸売事業は、得意先小売店に対する販売支援、新規得意先の開拓に取り組むも赤字計上。
  • 写真館事業は、1Qに横浜本店の改装を実施する等、売上向上策に取り組むも赤字計上。
  • 海外眼鏡販売事業は、商品ラインナップの拡充等 に取り組み、採算の改善に努めるも店舗数の減少に伴う減収から赤字計上。

愛眼は2018年3月期3Qにおいて、顧客からの支持・信頼の獲得に焦点を当てた諸施策により、事業収益の拡大と、経費コントロールなどによる経営効率の向上を図ってきたとしています。その結果、売上総利益率が0.7ポイントの改善となりました。

販売費および一般管理費においても圧縮されており、前年同期比で大幅な増益、親会社に帰属する当期純利益にいたっては見事に黒字転換を果たしています。

また、直近通期決算である2017年3月度、および5月の半ばに発表を控えている2018年3月度の業績予想は以下のとおりとなっています。

2017年3月期本決算

売上高15,957百万円
営業利益-51百万円
経常利益11百万円
純利益-390百万円
1株利益-円
配当0円

2018年3月本決算予想

売上高16,344百万円
営業利益239百万円
経常利益317百万円
純利益181百万円
1株利益9.34円
配当3円

参考指標

時価総額9,374百万PER62.47
発行済株数17百万PBR14.05
最低購入代金56,100ROE15.00
単位株数100EPS8.98
売上高成長率+27.09%BPS39.93
経常増益率+33.3%1株配当0.00%
最終利益変化率+61.3%配当利回り0.00%

愛眼の業績は2017年3月期に赤字転落するも、2018年3月期の予想は黒字転換としています。

やはり先ほどの2018年3月期3Qの業績予想からもその兆候は見られており、やはり先述の経費コントロールに注力していた事が功を持していた模様です。

売上成長率も反動もあり安全水準となっていますね。また、愛眼は財政状態が非常に良好です。PBRを見ると解るとおり、眼鏡業界が全体的に低くない水準の借金経営を行っているのに対し、愛眼はほぼそれがありません。

PERはやはり、株価に対して利益の出し難いセクターとなってしまった眼鏡業界の現状を映しているような割高さですが、このPBRの低さは、業界の中でも愛眼独自の強みと言えるでしょう。

まとめ

愛眼が2018年3月期において行ってきた販管費の削減という施策は特別な事ではありません。何処の企業でもやっているような当たり前の事を着実にこなしたという事ですね。

もちろん前年度の赤字の反動もあると思いますが、愛眼自身の想定すらも上回るV字回復を達成したのは圧巻と言えるでしょう。先述のとおり、近年の眼鏡業界は低価格競争に晒され、まだまだ厳しい状況と言えます。

メガネスーパーも顧客のターゲットを絞る等の施策で黒字転換を行いましたが、財政的には投資ファンドの後ろ盾もありましたし、その施策すら恐らくコンサルティングされてのものでしょう。

そんな中で健全な財政状況を維持し、業績の落ち込みを突飛ではなくあくまで基本的な運営により挽回してしまう点は、愛眼は地力がある企業と判断して間違いないと思います。

健全でバランスを保った経営をしていれば、どんな企業でも恐らく可能な事なのでしょうが、それを実直に遂行出来た点が愛眼の強さと言えるでしょう。

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