
IPOで好感され易いセクターに属するSIG(4386)
SIG(4386)は独立系IT企業として、情報システムや産業制御システム開発事業等に取り組んでいる企業です。
いわゆるITインフラソリューション、及びセキュリティサービスを展開している企業で、今後の展望の大きさから、テーマ株の一つとなっています。
業務内容を具体化すると、限定の無い対象セクターに対し多岐にわたる分野にわたるソリューションを提供しています。
その中の一つとして政令指定都市向け人事給与システムを始めとした、地方自治体の共済・年金システム及び国民健康保険、郵政共済、農林年金に関するシステムを開発も請け負っています。
人事給与システムとは、職員の基本情報をもとに採用・退職・移動・各種手当などの情報を一元管理し、様々な給与形態に応じた給与計算を行うシステムであり、官公庁や自治体といった公的機関がまずそれを導入している点から、国策企業という側面も持っています。
また当セクターに属する企業の株式が新規上場するという事になった際には、同様の理由で堅調な株価推移が見込まれるため、初値やその後の高い上昇率への期待から、市場からは期待され易いという側面もあります。
そんな業界背景の下、SIGも去る6月21日にJASDAQスタンダードにて新規上場を果たしました。
SIGのIPOにおける注目点とは
上場前のSIGのIPOの概要は、以下のとおりでした。
IPO情報
公募株数 | 150,000株 |
主幹事 | 岡三証券 |
売出株数 | 192,700株 |
単元株数 | 100株 |
仮条件 | 1,600~2,000円 |
上場市場 | JASDAQスタンダード |
業種 | 情報・通信業 |
IPOスケジュール
ブックビルディング期間 | 2018年6月4日~6月8日 |
公開価格決定日 | 2018年6月11日 |
購入期間 | 2018年6月13日~6月18日 |
上場日 | 2018年6月21日 |
今回のSIGのIPO規模は比較的小規模です。準大手である岡三証券が主幹事を務めていた事を見てもよく解ります。
公開株数が少ないという事は、株価が軽いため急変し易くなります。つまり上昇に向けば株価の大きな躍進が見込めるという事ですね。
そして株価を上昇に向ける要素として、先述のとおりネットセキュリティ関連セクターである事が加わります。
ここが市場の大きな注目点となっていた模様ですが、それに伴い業績も右肩上がりであったという事は周知されていたので、期待を後押しする事になった事でしょう。
一部では業績が頭打ちになっているという見方もありましたが、既に公開されている直近通期決算に対し、今期の通期決算予想は売上高成長率が8.78%で超優良水準となっています。経常増益率も2.7%、最終利益変化率が3.4%とまだまだ成長余地は見込まれている模様です。
コンサンセスに関しては、その会社予想よりもさらに強気な予想がされており市場の期待が高い事が覗えますね。
市場注目度は最も高い「S評価」とされ、初値予想は概ね4,400円から5,000円に設定されていました。
SIGの初値とその後の展開
SIGは先述のとおり、6月21日にJASDAQスタンダードに上場を果たしました。
初値は4,665円を付けほぼ市場予想の範囲内となりました。実際に当値を付けたのは当日の14時54分であり、それまでは特別買い気配となっていました。
この時点で株価は既に、公開価格の2.3倍となっており、やはり小規模の株式公開である事と市場の期待が大きかった事が起因したように思えます。その後は、利益確定で小幅に売り押されるも、4,650円を割り込んだ辺りからは買われ、4,965円の高値を付けました。しかし5,000円という節目を目前にした辺りでは売りも多く、初日は4,820円で引ける事となります。
上場2日目となる6月22日の寄付きは意外にも前日とのギャップが無く、15分間は6月21日の引け値となる4,820円をキープしていました。いくら商いが薄めの銘柄とはいえ、値を上げた上場日の翌日でこのような現象が起こるのは不可解と言えるでしょう。
株価はその後急降下
しかし9時20分になると株価は初値を下回り4,300円まで急降下。その後小反発を見せるも、早速5日移動平均線の洗礼を受け反落していきます。
現時点で安値となっている4,120円は強固に支持されている模様です。所々で小反発を見せても売り落とされる局面でしたが、今のところ4,120円は割り込んでいません。
しかし上場後のチャートの形を見ると、下降三角形を形成しているようにも見えます。水準で言えば、PERが39.95倍、PBRも10.10倍と既に割高水準と言えるため、この先は調整に入る要素が多いですね。
やはり市場の期待と値動きの軽さにより株価が先行していた感はあるでしょう。短いスパンでは、必ずしもバリューどおりに株価が動くわけではありませんが、実勢との間で起きた株価の乖離は、どこかで収縮される事が相場の摂理です。
これにより新規上場の盛り上がりは鎮静化し、いわゆるSIGの株価は本来の適正水準に向かうという事になるのでしょう。