のれん代の減損って何?企業決算でよく見る言葉を解説

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のれん代が属する特別損益とは?

企業の決算が発表された時、その内訳として主に「売上高」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」という、事業成績を測る4項目が示されるのは、ご存知のとおりです。

その中で、経常利益が堅調なのにも拘わらず、当期純利益だけが落ち込んでいるのを見たことはないでしょうか?

業績推移例

業績推移例

 

経常利益と当期純利益の間には、特別損益と主に法人税等という科目が介在します。

 

決算書例

決算書例

法人税等の科目は、イレギュラーな調整を行わない限り、基本的にその会計年度の利益に比例してくるので良いとして、特別損失はその年に計上すると業績全体を揺るがすことになります。

 

特別損益には、下記のような事例があります。

特別損益の事例

  • 不動産などの固定資産売却損益
  • 株式等の証券売却損益
  • 前期の損益を修正する事で発生する前期損益修正損益

他にも該当するケースは沢山ありますが、基本的にはその会計期間にだけ計上する一過性の科目です。

そして特別損益には「のれん代」という項目が存在します。

 

のれん代とは?

のれん代とは、一言で言えばM&Aで買収した企業の買収額と簿価の差です。

簿価とは帳簿上から導き出されるその企業の価値ですね。

しかしM&Aでの買収額を定める判断は、その企業の将来性も織り込んだ時価の概念が主体となります。

したがって、簿価10億円の企業を20億円で買収するようなケースもザラにあります

ただバランスシート上では、10億円のものを20億円で買ったので、差額の10億円に何かの会計科目を当て込まなければなりません。

その会計科目が「のれん代」となります。

 

のれん代の減損とは?

減価償却という言葉をご存知でしょうか?

新品と中古の販売価格の違いを見ても解るとおり、家屋や機械等の資産は、使用していくにつれて価値が目減りしていきます。

会計上でも、減価償却費として、その目減り分を費用として計上していくことになります。

 

一方、M&Aで買収した企業も資産として見なしますが、買収後、その企業がどの位の利益を生み出しているかで、同じように価値の変動分を計上していきます。

この価値が下がると、会計上、のれん代が減少する事になります。

これが、企業決算の会計上でよく見られる「のれん代の減損損失」です。

 

のれん代減損損失

のれん代減損損失

 

つまり買収時の思惑がハズれたため、将来性等の付加価値で捻出した差額の10億円が目減りしたという事です。

減損損失は特別損失に計上されるため、発生すると経常利益と当期純利益の間に、以下の業績推移例のように乖離が発生するわけです。

業績推移例

業績推移例

のれん代の減損損失の規模によっては、その年度の事業利益を全て打ち消してしまうことにもなり得ます。

 

のれん代の減損はM&A件数と比例する?

理論的では、のれん代の減損が起こる件数は、M&Aの件数と比例します

世界金融危機の影響で、2007年から2011年の間は落ち込んだものの、M&Aの件数は増加傾向にあります。

M&A件数推移

M&A件数推移

したがって、上場企業の決算で公開されている財務諸表を見ていると、「減損損失」という科目を目にする頻度が非常に増えたという印象があります。

 

例を挙げれば、スクロール(8005)が2018年3月期の第3四半期に減損損失の計上を行っています。

スクロール(8005) 減損損失計上 2018年3月期第3四半期

スクロール(8005) 減損損失計上 2018年3月期第3四半期

のれん代の減損が起こるということは、連結上だけでなく親会社個別の帳簿上でも損失計上がなされることとなります。

現在は、企業が事業領域を拡大しようとする際、新しい企業を立ち上げるのではなく、該当業種に属する既存の企業をM&Aすることがスタンダードとなってきています。「のれん代の減損」という事象を目にする機会は、恐らく今後も増えていくでしょう。

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