イタリアの予算案差し戻しの影響とは?【ニュースから読み解く金融市場】

公開日:  | 0件のコメント

史上初!EU初の予算差し戻し

EUでは2013年から、ユーロ加盟国の予算を事前審査する制度が導入されています。

導入から現在にいたるまで、加盟各国の予算案が過去通らなかったことは無かったですが、今回EUは初めて差し戻しという措置を下しました。差し戻されたのは、イタリアの2019年の予算案です。

 

公開されている理由としては、当予算案は低所得層向けの最低所得保障や減税を盛り込む一方で、借り入れ頼みでバラマキ色が強いとのこと。

イタリア政府の債務残高はGDP比で130%超とEU基準の60%を遥かに上回っています。たしかに、この数値は常軌を逸していると言えます。

 

債務膨張を加速させれば債務危機再発を引き起こし、ユーロ通貨の信頼が揺らぐことを欧州委員会が懸念するのは必然でしょう。

欧州委員会は11月13日までに修正予算案を提出するように求めていましたが、イタリア側はこれを拒否する方針。

「現在は積極財政による景気刺激が欠かせず、その上で本来の軌道に戻るために必要な予算である」という主張です。

 

EUでは、加盟国が財政ルールを満たせない場合は制裁が科されることになっています。そのため最大で約90億ユーロ相当の制裁金や補助金の削減、ECBの監視機能の強化といった厳しい制裁が発動される可能性があるのです。

IMFもこの予算案に対して、「金利上昇につながり、リセッションを引き起こすことで市場の混乱を招くことになる」とEUの財政ルールに従うよう警告していました。

 

しかしイタリアは頑なに修正を拒否。欧州委員会は是正措置を求める過剰財政赤字是正手続き(EDP)を勧告しました。

それでもイタリアは予算案は撤回しない意思を維持しており、欧州委員会は是正されないのであれば段階的に制裁を追加していく旨の表明をしています。

 

欧州委員会との攻防!金融市場の反応は?

予算案差し戻しによるイタリアと欧州委員会の攻防により、イタリア国債も変動していました。意外にも11月21日には、サルビーニ副首相が歳出見直しを排除しないとの報道に10年物国債は上昇で反応。

この日はEUがイタリアに対する制裁手続きに向け踏み出しましたが、まだ対話の余地があるという期待が優勢になっていたようです。

イタリア10年国債チャート

イタリア10年国債チャート

今回の欧州委員会の判断は既に市場に織り込まれていたようで特に反応はなく、イタリア国債10年物の利回りは月初来の水準に向かっています。

一部の運用者の間では、イタリアのEU離脱のリスクは過大に織り込まれており、むしろ年初から2倍近くになっている現在の利回りが高過ぎるとの見方が示されている。

 

一方、為替市場においてユーロは売り優勢です。途中、サルビーニ副首相が予算案の見直しに応じる可能性があるとの報道で一時下げ幅を縮める場面もありましたが、同報道が否定されると再び売り圧力が強まるといった具合でした。

ユーロ為替推移

ユーロ為替推移

 

金融市場にも大きな値動きがある?

今回のイタリア予算に関する攻防が激化した場合、懸念されるのは来年予定されている2750億ユーロのイタリア国債のファンディングです。

ECB(欧州中央銀行)は、量的緩和政策によりイタリア国債の最大の買い手でもありました。もしEUを離脱するようなことになった場合、代わりにどこがそのイタリア国債を引き受けるのかということが懸念されます。

 

既に離脱を表明しているイギリスですら未だ離脱を成し得ていないこともあり、すぐに独立に至るというのは現実的ではないように思えます。

しかし、EU内で3番目の経済力を有しているイタリアの債券について市場が混乱すれば、金融市場にも大きな値動きがでるでしょう。

コメントを残す

8 + 17 =