ブレグジット(EU離脱)が進まない!日本株への影響は?

 | 0件のコメント

前代未聞、政府案の圧倒的否決

2018年1月15日、EU離脱が盛り込まれた協定の承認採決が英議会の下院で行われ、432対202の大差で否決となりました。

政府案が230票という大差で否決されるという事態は、近代の英国政治史において前代未聞です。

否決された離脱協定は、イギリスが3月29日のEU離脱を前提に、テリーザ・メイ首相主導の下調整が進められてきました。しかし、その協定が否決されたことで、EU離脱の方法や時期等はますます不透明となってしまいました。

そもそも離脱協定とは何かと言うと、ブレグジットが開始される3月29日に向けて、イギリスがEUを離れるためのタイムラインや具体策をまとめたものです。

ブレグジット EU離脱 株 影響 離脱協定

離脱協定

離脱協定はイギリスがEUとの協議の上で、合意した事項をまとめたものです。

以下が、その大枠の内容となります。

離脱協定の大枠

  1. イギリスの清算金額は約390億ポンド。
  2. 在EUの英国民と在英のEU市民のための措置として、英国と隣接するアイルランド、および北アイルランドとの国境に物理的な管理体制を敷かないための法整備を設ける。
  3. イギリスとEUの間での、通商協定の締結。
  4. イギリスのEU離脱により必要となる、企業の移行および調整期間の設定。

 

歴史的敗退で窮地に立たされるメイ首相

因みに今回否決された離脱協定は、選出のとおりテリーザ・メイ首相の主導で作成された対策です。

この協定案は、2年以上にわたりEUと交渉を行い取りまとめてきた、ひとつの成果と言えるでしょう。しかしそれが大差で否決されたわけですから、主導者であるメイ首相は当然窮地に立たされることになります。

ブレグジット EU離脱 株 影響 メイ首相

メイ首相

離脱協定が否決された直後、最大野党である労働党が政府に対する不信任案を提出しました。

つまり野党側は、圧倒的否決という自体を切っ掛けに、ここぞとばかりにメイ首相を追い落とそうとしたわけですね。

しかしこの不信任案は1月16日の夜に否決されました。メイ首相の首の皮はかろうじて繋がったというわけです。この不信任案に対する採決の結果は、賛成が306、反対が325の19票差でした。

この結果に至った大きな要因は、北アイルランドの民主統一党の議員達によるところが大きいです。

彼等は当初、反対した与党・保守党の造反議員やメイ政権に閣外協力しながらも、離脱協定には反対していました。本来であれば、内閣不信任案に賛成していてもおかしくない立場でしたが、メイ首相の留任に対して支持という立場に立ったといわけですね。

もし北アイルランドの民主統一党の議員達がメイ首相の続投に反対していたら、内閣不信任案は1票差で可決されているところでした。

ブレグジット EU離脱 株 影響

不信任を免れたメイ首相は、否決された離脱協定の修正案を1月21日に下院に提出すると改めて約束しています。

 

思惑の交錯!4つの選択肢が記された修正案

1月21日メイ首相は下院で、離脱協定の代替案を発表しました。変更内容は以下のとおりです。

 

1月21日に発表された離脱協定の代替案

  1. 英在住のEU市民の、在住権継続の費用を撤廃。
  2. 在EUの英国民と在英のEU市民のための、物理的な管理体制を敷かないという措置に対しての変更の模索。

下院では代替案の採決を1月29日に行う予定ですが、メイ首相はこの発表時点でこれら変更点の詳細をほとんど明らかにはしませんでした。

そこで協定に反対する議員らは、現時点で掲げられている離脱協定以外の選択肢を押し通す好機と見てか、メイ首相の代替案に対しさらなる修正案を議会に提出

 

各議員が提出した修正案(抜粋)

修正案は下記のように複数挙げられており、どの案を投票に掛けるかは、ジョン・バーコウ下院議長が決断することとなります。

A.コービン党首(野党・労働党)

混乱を防ぐため、議会は合意なきブレグジット以外の選択肢も検討するよう求めている。例:EUの関税同盟にイギリスが恒久的に留まること。再度、国民投票を実施する等。ただし与党・保守党に多い親EU派が不支持を表明している時点では、答修正案の可決の公算は乏しいと思われる。

B.一部の労働党議員グループ

離脱期限の延長をEUに要請。国民の中で代表者を250人選出して審議会を設置。10週間以内に議会に提言することを前提として、新方策を要求。

C.ベン委員長(労働党)

メイ首相の離脱案の是非を、再度議会にて採決。合意なき離脱を3月29日に強行。離脱案の交渉を、政府がメイ首相に再度求める。議会に、再度の国民投票という案に対する採決を求める。

D.労働党・保守党

離脱期限延長要請政府にを行うよう求めている。

E.クーパー議員(労働党)

ブレグジット問題の優先処理権限を政府から議会の管轄にする。※複数の保守党議員が支持。

2月26日までに議会での承認をメイ内閣の離脱案の得られない場合は、EUへ離脱延長を要請するかどうかの決定権を権限に与える。延長期間は年末までに設定。

F.グリーブ議員(保守党)

議会独自の議論を提案できる機会を2月と3月のいずれかの週で1日ずつ設ける。※複数の政党の議員が支持。

 

各議員が提出した修正案の内容はそれぞれですが、これらをまとめると現時点では4つの選択肢が提示されているということになります。

修正案に記されている4つの選択肢

  1. 基本的に現行ブレグジット合意。(3月29日離脱、移行期間あり)
  2. 合意なき離脱。(移行期間を伴うことなく3月29日に離脱)
  3. EUと再交渉。
  4. ブレグジット合意の在り方、またはEU残留の希望を問う2度目の国民投票。

メイ首相の離脱協定では当初、EUを3月29日に離脱し、その後移行期間である21カ月の間通商協定などを交渉する計画でした。

また、2の合意なき離脱を強行したい派は2度目の国民投票を開催するという4の案を恐れているなど、開始日とされている3月29日を目前にしてブレグジットへの意向はさらに混乱している状況です。

 

離脱協定否決における英ポンドの急伸

市場では1月15日の離脱協定が否決された時の為替相場の変動が、一時話題となっていました。

その内容は英ポンドが急伸したことです。

GBPUSDは離脱協定が否決されたことで、一旦は1.2670ドルまで急落したものの、その後は1.2890ドルまで急反発しました。

ブレグジット EU離脱 株 影響

ポンドはイギリス政治の動きに真っ先に反応する金融指標ですが、今回は政府が大敗したにもかかわらず急伸することとなりました。

本来であれば、国の主軸である政府のネガティブな事変は、市場のポンド売りを誘うような要因です。まして今回のように、歴史的大差で敗けるという事態はサプライズも加算されるため、急落こそすれリスクを取るような場面ではないハズです。

 

英ポンドの急伸に対する見解

アノマリーとなった英ポンドの急伸に対しては、様々な見解があるようです。

元々、市場が懸念しているのは合意なしのブレグジットによる混乱でしたが、メイ首相のブレグジット協定が大敗したことをきっかけにその懸念が遠のいたのではないかということ。

もしくは「ブレグジット自体が白紙に戻るのでは?」という見方もある模様です。

 

元々市場では離脱協定が大差で否決されることを織り込んでいたようなので、一度売りを消化した後にポンドを買い戻す動きが広がったと考えると自然なのかもしれません。

離脱協定の否決以降、イギリスの不安定な政局を尻目にポンドは買われ続けています。

ブレグジット EU離脱 株 影響

実体経済を反映しているとは言い難い一本調子の上昇は、大きな下落の予兆であるケースも多いため、ポンドのロングポジションは手に汗握るものではないでしょうか。

 

日本株への影響は?

どちらにしてもブレグジットの動向は今後も紆余曲折することが予想されるため、その都度反応するであろう英ポンドの動きには注意が必要と言えます。

国際通貨基金(IMF)は1月21日、2019年と2020年の世界経済成長率見通しについて下方修正を行いました。国際通貨基金(IMF)が挙げたリスクとして、中国経済の予想以上の鈍化とともにこの合意なきブレグジットの可能性を挙げています。

3月には米中通商協議の交渉期限もあり、ブレグジットの不透明感も強いとなると、日本の株式市場が上昇基調を取り戻すとしても、2019年度業績予想が出そろった5月ごろになるかもしれません。

コメントを残す

seventeen + two =