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araとは?
「ara」は人工知能(AI)による株式分析ツールで、「Analyst Ratings Analyzer」の頭文字を取ってaraとされています。
その解析アルゴリズムは、人工知能を使って株価が上昇する確率の高い銘柄をビッグデータ(araの場合は過去のアナリストレポート等)をもとに選別するというものです。
AI(人工知能)による株の取引増加で起こる相場の変化とは?の記事でも解説したように、人工知能の運用による投資助言は近年増えつつありますが、araもその類ですね。
銘柄提供方法はどのプランもメールかWEBとなっているため、専用アプリなどは特に無いようです。
ブロンズ・プラチナ・ダイヤモンドの3つの料金プランがあり、一番安いもので129,600円(月2銘柄提供)という高額な料金設定になっていますが、実際の株価予測の実力はどうなのでしょうか?
公式ホームページにはaraの推奨実績も公開されていますので、さっそくその分析精度を検証していきたいと思います。
塩野義製薬(4507)の検証
araの推奨銘柄のひとつ、今回は塩野義製薬(4507)の推奨経緯をチャートから追っていきます。
買い推奨の理由は抵抗線寸前での高値引け?
買い推奨がされたのは2018年6月21日です。
推奨値である5,749円が当日の寄付きであるため、前日の6月20日の引け方にaraの買い判断の根拠があるのだと考えられますね。
チャートを見ると、その日は高値引けとなっています。
実は当時の塩野義製薬には、5,800円の水準に抵抗線が存在していました。
何度かの瞬間的な上昇でローソク足の髭レベルでは上抜けているものの、実体ではブレイクアウトを果たせないといった地合いです。
6月20日のような抵抗線寸前での高値引けは、ブレイクアウトの確率を高める要因としてaraに認識されたのかもしれませんね。
塩野義製薬は2012年から上昇基調を続けていたため、これ以前からaraの判断基準も買いに傾向していたはずです。
現実には抵抗線の上抜けはなされず…
しかし、現実は抵抗線を超えず20日の終値を下回り、その後の瞬間的な上昇も5,800円で跳ね返されています。
結局7月4日に5,400円まで落ち込んで反発することになりますが、買い場としてはそれほど良質では無い気がします。
売り推奨はいつされた?
araがどのタイミングで売り判断したのか、公開されている実績からは判りません。
あくまで高値日と高値が掲載されているだけなので、ここでピンポイントに売り推奨が行われたというのは現実的ではありません。
ただ高値とされている10月3日の7,739円は11月26日に超えられているので、売り推奨があったとしたら10月3日以前に行われていることは間違いないでしょう。
ただ、araが売り判断する要素の一つとして挙げられるのは、移動平均線との乖離率です。
一定以上乖離率が高まった時に取引判断を行うというのは、人工知能での投資判断によく見られるパターンです。
それが当てはまるのは、8月2日、9月19日、そして10月3日ですね。
いずれも大きく移動平均線から乖離していますね。
特に8月2日は先述の5,800円のラインを上抜けた日でもあるので、araのような人工知能が判断しやすい局面です。
この売りタイミングについてはあくまで推測ですが、人工知能は株価に動意が起こってから発動するのが基本とすると、どうしても利幅が小さくなってしまうということになります。
もちろん波動や時間的概念を認識している人工知能プログラムもあるでしょう。
人工知能のプログラムも様々ですが、基本的に株価に動意が起こってから発動するのが基本となるため、事前の情報収集により仕込むことができる投資助言者には敵わない部分があるのは否めません。
市場分析力・取引判断力を備えた経験ある投資助言者と同じ水準をaraのような人工知能で実現するには、まだまだ難儀ではないかという印象です。
araを運営するRFS Managementとは?
araを運用しているのは「RFS Management株式会社」という投資顧問です。
RFS Management株式会社は、為替のインターバンク市場で活躍したマネジメントチームによって構成されているようです。
個別株よりは市場が大きいインデックス等を得意としているため、人工知能やアルゴリズムによるトレードに傾向するのは頷けます。
RFS Management株式会社は「エムトレ」というメディアも運営していますが、やはり個別株に関する内容は僅かで、FXや仮想通貨に関するニュースを取り上げています。
そもそもaraは、エムトレで販売している人工知能に基づいた投資助言コンテンツという位置づけでのコンテンツ提供のようです。
araの総評
araのホームページにも書かれていますが、人工知能と人間である証券アナリストにはそれぞれ長所と短所があります。
情報より集団的セオリーの支配力が高い為替やインデックスにおいては、市場規模に見合った大量のデータの収集、および感情に流されない正確な分析ができる人工知能に優位性があるでしょう。
しかし個別株においては、先述の情報収集による事前の買い仕込みが出来ることに優位性があると考えられます。この情報の内容とは、結局のところ人間の思惑で起こるものです。
つまり、株価に対する個別事情の支配力が大きいので、人工知能が得意とする多数決の理論が通用し難くなります。
したがって、個別株においてはまだまだ個別事情の情報収集に長けた投資助言者に優位性があると言えるでしょう。TMJ投資顧問などの助言業者と比較してみるのも良いと思います。
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