「フラッシュクラッシュ」とは相場用語のことで「瞬間急落」を意味します。
当記事では過去のフラッシュクラッシュの事例、原因やメカニズム、さらにフラッシュクラッシュをチャンスに変える投資対処法を解説します。
記事の目次
2019年に起こったフラッシュクラッシュの原因とは?
フラッシュクラッシュとつまり相場が極めて短い時間の内に大きく下落する現象を指します。
2019年の正月はフラッシュクラッシュが為替相場で起きたことで多いな話題ともなり、投資家の方々は胆を冷やしたかもしれません。
その時のチャートを振り返ってみると各為替チャートが一気に下降しています。
元々2018年の終盤に掛けて、USD/JPYは調整地合いに入っていました。
これにより、昨年末から大量の逆指値の存在を囁かれていた108円のライン(画像:ピンク線)に接近しています。
フラッシュクラッシュが起こったのは、2019年1月3日のシドニー時間です。この日はまだ東京市場は正月休みなので、そこを投機筋に狙われたのではないかと言われています。
その投機筋の売りが、世界中に存在する高速自動取引(アルゴリズム)システムを発動させ、1ドル=104.726(画像:ピンク線)という安値を付けたのでしょう。
いくら大きな逆指値を巻き込んだからとはいえ、一気に4円強も円高に振れることは考え難いですからね。
フラッシュクラッシュのメカニズムとは?
フラッシュクラッシュという言葉は、2010年5月6日にダウ工業株30種平均が急落したことが起源となっています。
その下落率は、わずか10分程でで9%(約1000ドル)に達し、取引時間中における史上最大の下げ幅を記録したことからこう呼ばれるようになりました。
当時の急落は、様々な要素が重なったことが原因とされています。キッカケは、米国の運用会社が出した株価指数先物への大口売り注文です。
先物価格の急落に対し、1000分の1秒の高速自動取引(アルゴリズム)システムが追随して売り注文を出し、下げ幅を拡大したとされています。
さらに、フラッシュクラッシュ的な下落は、これ以降もたびたび勃発しています。
当初は大口や機関投資家の詐欺的な見せ玉により、一斉に投資家が市場から退くことで起こったりしていましたが、時が経つにつれアルゴリズムシステムの台頭により頻度が増していきました。
アルゴリズムシステムを一言で言うと、算法により最適なプロダクトを選ぶプログラムが内蔵されているものです。
しかし、相場においてのアルゴリズムシステムの答えが重なった場合、一方向に取引が集中する傾向があります。
先にも述べましたが、2010年5月のダウ平均株価の急落は運用会社による大量の売り注文が発端です。それを捉えたアルゴリズムシステムは、「相場が下がるから売りが最適な取引」と認識したことは想像に難しくありません。
そのアルゴリズムシステムが世界中に存在しており、それらの取引判断が一致すれば相場が一方向に動くのは自明の理ですね。
またアルゴリズムシステムを使用しているのは、機関投資家をはじめとした大口の投資家が圧倒的に多いです。
つまり、世界中の大量の資金が売りに投入されるわけですから、フラッシュクラッシュのような瞬間的な大幅下落が起こるというわけです。
2019年初頭に早速起きたフラッシュクラッシュ
先述のとおり、今や大半の投資家がアルゴリズムやAIといった自動高速取引システムを導入しています。
自動高速取引システムの普及に伴い、フラッシュクラッシュの頻度も増えてきています。
過去のフラッシュクラッシュの事例は、ざっと思い付くだけでも数多くあります。
- 2010年 ダウ平均株価
約10分で9%の下落 - 2015年 EUR/CHF(スイスショック)
約20分で33PIPSの下落 - 2016年 GBP/USD(EU離脱問題)
瞬間で6%の下落 - 2017年 ETH/USD
1分で95%超(304ドル)の下落 - 2017年 ダウ平均株価
数分で900ドルの下落 - 2018年 アマゾン
10分間で50ドルの下落 - 2018年2月 ダウ平均株価
10分で約900ドルの下落
フラッシュクラッシュは、見逃しているだけで他にもあるかもしれません。
ただ、直近になるほど頻度が増えているのは間違いありません。
ちなみに米国株は、日本株のように値幅制限というものがないので、個別株でもフラッシュクラッシュが起こり得ます。事例の中でダウ平均株価が多いのも、そういった要素が含まれているということですね。
逆を返せば日本の個別株でフラッシュクラッシュと呼ぶほどの急変動が起こることはないと言えるでしょう。
一方、仮想通貨に関しては、元々の取引量が流動性が低さから、どうしてもボラティリティが高くなりやすいです。
他の市場の基準で見たら、しょっちゅうフラッシュクラッシュが起きていると言えてしまいそうです。
フラッシュクラッシュはチャンスになり得る?
結論から述べると、フラッシュクラッシュは大きなチャンスになり得ます。
逆張りの買いが出だしたのを確認し、それに乗れば良いわけです。
もちろん急落することでセオリーでは下目線となるところですが、その時点でさらに順張りを向けることは非常にリスクが高いです。
それなら急落の反動を狙って逆張りする方が良いでしょう。基本的に下落幅が大きければ大きいほど、狙える利幅は大きくなります。
もちろん売り圧力が強く残っていることも多々あるので、随所で注意は必要です。
しかしフラッシュクラッシュの場合は短時間での急落のため、平均水準(画像:黄線)との間に非常に大きい乖離が生じます。
つまりその乖離幅が、そのまま狙える利幅と成り得るわけです。現に、急落時のみにトレードを行うトレーダーも多く存在します。
日本の個別株ではフラッシュクラッシュと言うほどの乖離は起きませんが、そこまでいかずとも急落時などはその反発に乗って利益を得る事は十分に可能でしょう。
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