100年という時間ははたして長いのか短いのか
世界で最も資産を持つ人物を表す世界長者番付、2017年の時点で2位にランクインしている人物が興味深い発言をしている。
その2位の人物とは、ウォーレン・バフェット氏である。
投資の神様とも呼ばれ注目を浴びるバフェット氏は、2017年の9月に「NYダウ平均が100年後には100万ドルを超える」と発言したのだが、この発言がどの程度実現性を含んでいるのか今回考察していこう。
「100年で100万ドルになる」というとあまりに途方もない数字が並んでいるように見えるかもしれない。まずは現在の状況を見ることにする。
NYダウとはアメリカの優良な企業30社の株価を平均し、そこに価格が一度に変化して混乱しないように除数という数字で割った数値である。
より簡単に言えばアメリカの経済全体の動きがどのようになっているかの指数となる数字のことで、高ければ高いほどアメリカ経済が活性化しより多くの価値が生み出されているとも言える。
そんなNYダウは2017年の1月、初めて2万ドルを達成した。その約100年前である1916年頃は平均で100ドルほどだったというのだから、その成長は素晴らしいものである。そして1916年から2017年の約100年で、NYダウは約200倍にも膨れ上がったとも言えるのだ。
対して次の100年で100万ドルを達成するには、この上がり幅に比べて50倍で良いのである。こう聞くと簡単なように思えるから、数字というものはつくづく不思議なものだ。
国が成熟してくると、経済成長は落ち着いてくる
経済が爆発的に伸びる時期は、国が成長する時期でもある。日本も同じような高度経済成長を経て国の生活水準は格段に良くなったと言えるだろう。
それとは逆に国の成長が落ち着くと、経済成長も同じく落ち着いてくるのだ。もちろん完全な互換性があるとも言い難いだろうし、短期間の間で経済成長があり、国の成長にあまり関与しなかったケースもあるが、100年未来を考える上では互換性があるといって差し支えない。
アメリカの潜在成長率は現在2%前後であると言われている。約60年前の時点では約5%ほどだったがその成長が落ち着いてしまったのか、数値は下がってしまっている。
そして今後もこの数値は下がり続けていく傾向にあるだろう。以前の100年の伸びと、これから先の伸びが必ず同じになるという保証はないのだ。
100年で上手に100万ドルを達成する方法は?
結局のところ100年でNYダウ100万ドルを達成することはできるのだろうか?このままではやはり達成するのは難しいのではないか?それを解決する手法こそ、複利運用という考え方である。
複利運用とは、何らかの投資で上手く利益を出せた後、その利益を最初の元本に上乗せし、より多くの利益を得るようにする手法である。運用資金が多くなればなるほど儲かることのできる手法であり、複利運用で利益を出すやり方なら、上手に運用ができていれば雪だるまのように利益を増やすことができるのだ。
1916年〜2017年の間の平均年間リターンは5%ほどであり、同じように現在のNYダウを年利5%程度で複利運用すると100年後には300万ドルを超えている計算となる。ここまで行かなくとも、年利4%ほどでも十分100年後に100万ドルを達成することができるのだ。
ただ、100年もの時間が経過した後、今生きている我々投資家は次の世代になっている可能性が高い。長期的な視点で投資することで、次の世代に価値を残していけるという考え方の方が合っているのだろうか。
100年後の次世代の人々のために価値のある投資をしておいた方がいいのだろう。短期間で大きく稼ぐ話を聞くと、ついリターンの大きさばかりを見てしまいがちである。バフェット氏は長期的な視点で物事を見るべきという話をしているのかもしれない。
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