EBITDAとは? KPIとして採用される理由
近年、様々な企業において決算説明会やプレゼンテーションなどの動画・資料を自社サイトにアップし、営業利益や当期純利益だけでなく独自の会計指標KPI(重要業績評価指標)を採用することで、KPIに沿った進捗報告を行うケースが増えてきている。
KPIの中でもEBITDAは特に採用している企業が多いとされている。EBITDAは、税金・利払い・減価償却費控除前利益などの頭文字をとった名称だが、税金や利息、設備投資などのM&Aにおける償却前の利益を表す指標だ。
EBITDAは設備投資やM&Aなどに生じる「のれん代」などの償却を可能とする。通常であれば、企業でのれん代が生じれば毎年一定額を償却しなくてはならないが、国際会計基準では償却の必要はない。
企業の経営状態が同じであっても、それを表現する会計基準が異なることによって、決算数字が大きく異なる可能性が高いのである。こうした中でそれらを同じ基準で測ることができるEBITDAの存在は企業にとってメリットがあるとされ、注目が集まっているのだ。
EBITDAを採用するメリットと投資への活用
現在EBITDAを採用している企業には、通信・鉄道・不動産業などの多額の設備投資が発生する業種、または大型M&Aの展開を行っている企業が多いのが特徴だ。
企業がEBITDAを採用する理由は様々だが、損益計算書に計上する利益数字に捉われることなく、目指すべき経営状態を随時チェックできるという意味合いが大きいのではないかと考えられている。
また、EBITDAをKPIとして採用することで、株主に対する円滑なコミュニケーションが可能になることも1つのメリットになるだろう。当面の利益について悪影響が出ても、将来の利益として大きな設備投資やM&Aを行うことによって、攻めの投資を行うことができるのだ。
一方で、EBITDAは株式投資にも役立つ指標になっていると考えることができるのも大きな特徴だ。EBITDAは、会社の見通し通りの数字で推移できているかをチェックすることができる。
EBITDAを売上高で割って算出することによって、売上高の伸びとEBITDAの伸びの違いを考察し原因を追究することができ、経営方針との比較研究に役立つだろう。このように考えても、EBITDAは株式投資への活用も十分に可能であることがわかるのではないだろうか。
EBITDAを上手く活用しよう
投資の応用動作としては、純有利子負債からEBITDAを割って算出する方法で、金融機関や格付け機関などがその会社の財務健全性を評価するために使う算出方法となる。
また、企業価値をEBITDAで割ることによって、企業価値が時価総額と純有利子負債によって理解できるが、これらはアナリストやM&Aサービスに従事する方が株価の適正価格算出のために用いている算出方法でもある。
ただ、実際には前述した算出方法である、企業の見通しに沿ってEBITDAが進捗しているかを把握することが、株式投資に活かす方法が個人投資家にとって適していると言えるだろう。
また、会計上の利益とEBITDAのギャップを生む投資内容が本当に将来の企業価値に高める投資かどうかを見極めていくことが大切だ。
EBITDAは企業の収益性や財務健全性、株価の妥当性を測る上で役立つ指標と言えるだろう。EBITDAを理解し慣れてくると、個人投資家にとっては成長企業を見極めるために大いに役立つ指標になっていくことが考えられる。
今後、EBITDAをKPIとして採用する企業が増えていけば、通常よりもいち早く成長企業をチェックできる個人投資家も出てくるだろう。投資内容をよく見極め、EBITDAを上手く活用していくことは、将来的に成長が見込まれる企業を吟味する上で、株式投資の成否を分ける可能性も考えられるのではないだろうか。
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