夏枯れ相場 2020年は「下落トレンド」予想 理由と注意点を解説

 2020/07/08

日本市場の7月~8月の株式相場は「夏枯れ相場」と言われています。

この時期は国内外の投資家が夏季休暇に入るため取引量が低下、市場が冷え込む傾向があります。

では、2020年の夏枯れ相場はどうでしょう。

コロナ相場で株価乱高下している状況も踏まえ、2020年の夏枯れ相場を元証券マンの管理人が予測します。

夏枯れ相場とは

毎年7月~8月は夏枯れ相場と呼ばれ、1年で最も取引量が減少する時期です。

理由は投資家が夏季休暇に入り市場から撤退するため。

外的要因などによる暴落リスクを回避するので、リスクヘッジを取り売り優勢となるのが特徴です。

この投資家のポジション調整で売りが売りを生み夏枯れ相場となります。

ちなみに相場格言のセルインメイは「株は5月に売れ」という意味を持ちますが、「夏枯れ相場に向けて手仕舞いしろ」という意味合いも含まれています。
 

特徴①:9月末から上昇傾向

夏季休暇を終えた投資家が市場に戻るのは9月末~10月頃。

3月決算企業の中間決算発表は11月のため、この時期の株価は上昇傾向にあります

下記は2016年以降の月足チャートです。

2018年はやや下降気味であるものの、他の年は上昇しているのが見て取れます。

日経平均株価 2016年~2019年の月足

日経平均株価 2016年~2019年の月足

つまり、よほど強力な買い根拠がない限り、夏枯れ相場での買いは控え、9月末頃に相場が回復してきた頃合いで買い戻しをするのがおすすめです。
 

特徴②:ボラティリティが高い

夏枯れ相場はボラティリティが高くなる傾向があります。

市場参加者が減り、下記の流れが予測できるためです。

①市場参加者が減る

②出来高が減る

③少しの資金流入で株価変動が起きやすくなる

④ボラティリティが高くなる

ボラティリティが高くなることで利益幅を狙いにいける反面、リスクが高くなるのも夏枯れ相場の特徴です。

相場状況を理解して、株価に振り回されない準備をしておきましょう。
 

2020年の夏枯れ相場は「下落」想定

では、本題に入ります。

結論から言いますと、2020年の夏枯れ相場はむやみに買いに入らない方が良さそうです。

理由は3つあります。
 

日経平均が2番底に向かう

1つ目は日経平均株価が2番底を目指す可能性です。

昨今の新型コロナウィルスの影響で日経平均株価は大暴落、3月19日には安値16,358円を付けました。

その後、相場は上昇トレンドに反転、6月9日に高値23,185円まで回復。

暴落前の株価水準に戻る気配が伺えました。

しかし、日経平均株価の上昇要因は実体経済の回復ではありません。

コロナ感染鈍化や経済回復期待による思惑が先行しているだけなので、経済は未だ停滞状態。

夏枯れ相場に売りの拍車がかかる可能性があります。

16,000円台まで下落するとは考え難いですが、日経平均20,000~21,000円のレンジまで落ち込むかもしれません
 

TOPIXが軟調

2つ目の理由はTOPIXが軟調です。

TOPIXは東証株価指数といい、東証一部上場の全銘柄を対象に計算する株価指数です。
※7月8日現在2,170社

日経平均株価と並び、景気動向を掴む指標として活躍できます。

このTOPIXが6月に減速。

9日以降軟調に推移し、25日移動平均線も横ばいから下落傾向にあります。

TOPIX 2020年の日足

TOPIX 2020年の日足

3月中旬~6月頭まで上昇し続けた背景もあり、例年より利確売りが殺到、早めの夏枯れ相場に突入している可能性も考えられます。

また、トレンド反転をしても大幅上昇に期待できないのが夏枯れ相場。

地政学リスクなどによる暴落リスクも踏まえると、急いで参入する時期ではないと私は思います。
 

外的要因による下落リスク

3つ目の理由は外的要因です。

2020年の夏枯れ相場は、株価に直結しやすい外的要因が気になります。

①コロナ第2波

緊急事態宣言解除後、全国の感染者数は2桁で推移していたものの、7月に入り3桁に増加。

コロナ第2波の懸念が強まってきました。

景気持ち直し期待が先行していた分、緊急事態宣言が再発令されれば落胆売りの反動は大きいと予測できます。

海外に目を向けても感染者は急増中。

米国では経済再開に向けた動きに伴い感染拡大、国内の感染者数は300万人に迫っています。

2020年の夏枯れ相場中に、国内外でコロナ第2波が取り上げられれば暴落必須

注視しなければならない問題です。

②米国大統領選挙

11月3日に米国大統領選挙が行われます。

今年の大統領選挙はトランプ氏とバイデン氏の一騎打ちが決定。

結論から言いますと、バイデン氏の勝利で米国株市場の株価下落の予想です。

配当課税や法人税の引き上げなど、投資家から好感視されていたトランプ政権が修正される恐れがあります。

2020年の夏枯れ相場中にバイデン氏の支持率が上がることで、米国株の下落、日本市場も連動して影響を受けるとが想像できます。
 

2020年の夏枯れ相場 「外国人株比率」に注意

株式相場全体が軟調になりやすい中、特に注意しておきたいのは外国人株保有比率の高い株です。

外国人投資家がこぞってポジション調整を行った場合、株価への影響は大きいと考えられます。

下記の銘柄には特に警戒をしましょう。

 外国人株比率が高い銘柄

・東証一部の銘柄
・銀行系の銘柄

東証一部の銘柄から、外国人株比率が高い理由を確認していきます。
 

「東証一部」の大型株が買われやすい傾向

外国人株比率の高い日本株トップ30(2020/7/8 現在)を抽出してみました。

赤枠で囲っているのが東証一部上場銘柄、比率の高さが伺えます。

外国人株比率トップ30銘柄の内、19銘柄が東証一部の銘柄です。

以上のことから外国人投資家は日本の大型株を好んで買っているのが見て取れます。

夏枯れ相場でむやみに東証一部銘柄に手を出すと、外国人投資家のポジション調整に巻き込まれる可能性もあります。

東証一部銘柄を保有中、もしくは買い検討しているのであれば、下落リスクを考慮して下さい。
 

「銀行関連銘柄」は外国人投資家に人気

東証一部銘柄の中でも、特に注意が必要なのは銀行関連銘柄です。

なぜなら銀行関連銘柄は外国人投資家に人気で、外国人株比率が高くなっているため。

外国人株比率20%を越えると保有割合は高いと言えます。

下記、四季報2020年3集から転載した銀行関連銘柄の外国人株比率の一部です。

銘柄名 外国人株比率
りそなHD(8308) 37.3%
三菱UFJ(8306) 31.1%
みずほフィナンシャル(8411) 21.3%
三井住友フィナンシャル(8316) 31.1%
三井住友トラストホールディングス(8309) 40.5%
新生銀行(8303) 40.9%
SBIホールディングス(8473) 45.7%
ふくおかフィナンシャルグループ(8354) 27.4%

海外の大口投資機関をはじめに、外国人保有率の高さが伺えます。

海外投資機関が持ち株を減らす可能性もあるので注意をして下さい。
 

2020年の夏枯れ相場 狙うなら大型割安株

夏枯れ相場が終わりを迎える9月末~10月頃は仕込みのチャンスです。

外国人投資家が市場に戻ると潤沢な資金が流れるので、トレンド転換の起点となることも。

彼らが目を向けやすい個別銘柄に注目しましょう。

おすすめは東証一部の中・大型株

おすすめは東証一部の中・大型株です。

東証一部の中・大型株は外国人投資家の人気もさることながら、9月末にJPX日経インデックス400の入れ替えがあります。

JPX日経インデックス400とは、東京証券取引所の中で「過去3年間の営業利益+ROE(自己資本比率)+時価総額」の3つの指標から、成績良好の400銘柄を採用した指数です。

2019年8月には構成銘柄から28銘柄除外、31銘柄の入れ替えがあり、東証一部の銘柄数は393銘柄となりました。

このJPX日経インデックス400の銘柄入れ替えの公表が2020年9月30日にされ、11月30日に実施されます。

JPX日経インデックス400は注目される指数の1つなので、9月末~10月頃に東証一部の割安株を仕込んでおくと、株価上昇に期待できるかもしれません。
 

2020年の夏枯れ相場 総括

2020年の夏枯れ相場はただのアノマリーで済まされそうにありません。

新型コロナや大統領選挙などの影響を受ける可能性が高いです。

そのため、お金を増やすのではなく減らさない意識を持ちつつ、勝機のある銘柄以外は買い控えることを推奨します。

相場を理解して負けない株式投資を心がけて下さい。

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