国際紙パルプ商事(9274)の強みとは
国際紙パルプ商事は、1942年(大正13年)に誕生した紙関連素材の販売や環境ソリューション・WEBソリューション、不動産の保有から賃貸、倉庫業なども担っている企業です。
2018年3月期現在で、紙・パルプ業界では連結・単体売上高で業界第2位を誇る商社でもあります。
国内には東京本店以外に札幌や仙台、名古屋、京都、大阪、福岡に支店。海外だと上海や北京、シンガポール、ジャカルタ、マニラなどのアジア地域を中心に、アメリカやブラジル、オーストラリア、南アフリカにもグループ拠点があります。
また、現在資本金は47億2,353万円で、従業員数は2018年4月1日現在で673名となっています。
国際紙パルプ商事の強みとしては、やはり幅広く様々なタイプの紙関連素材を販売しているということではないでしょうか?
幅広く紙関連素材を販売
例えば新聞用紙や出版物からチラシ、カタログ、取扱説明書などを含めた多くの印刷物、さらにノーカーボン紙やフォーム用紙、複写用紙など、IT化の進行に基づく情報用紙など、多岐に渡り紙関連素材の販売を行っています。
この他にも、包装用紙や最近ECサイト利用者の増加でニーズが増えているダンボールなども国際紙パルプ商事では手掛けています。
ソリューションでは紙・パルプ関連企業として、循環型社会を目指すために環境に役立つソリューションの提供も行っています。
例えばオフィスに設置する機密文書処理システムや、家庭の紙ゴミを回収してリサイクルに回せるだけでなく、回収した重さに応じて設置した小売店などのポイントが貯められるシステム、針や糊を使わずに製本するエコ・プレスバインダーの提案などが挙げられます。
紙・パルプに関連する事業を長年取り組んできており、その実績は将来に向けた取り組みにつながっていると言えるでしょう。
国際紙パルプ商事のIPOにおける注目点とは
続いて、国際紙パルプ商事のIPOにおける注目点をご紹介していきましょう。
上場前の国際紙パルプ商事のIPO概要は以下の通りとなっています。
IPO情報
公募株数 | 7,000,000株 |
主幹事 | みずほ証券 |
売出株数 | 1,050,000株 |
単元株数 | 100株 |
仮条件 | 314~344円 |
上場市場 | 東証一部 |
業種 | 卸売業 |
IPOスケジュール
ブックビルディング期間 | 6月7日~6月13日 |
公開価格決定日 | 6月14日 |
購入期間 | 6月18日~6月21日 |
上場日 | 6月26日 |
想定価格が344円だったことから、当時は初値が上がりやすいと予測されていました。
基本的にIPOで想定価格が1,000円以下になっていると買いやすくなるため、初値は上がりやすいと言われています。
ただ、他のIPO情報を見てみるとあまり条件が良くなかったり、事業的にも紙・パルプはあまり人気になりにくいということから、初値の上昇が期待しづらかったと言えます。
ここ5年間の業績推移をみてみるとかなり停滞している印象があります。
また、6月は国際紙パルプ商事以外にも多くの上場予定企業が軒を連ねていたため、人気が出にくいのではないかという予想も立てられていました。
主幹事であるみずほ証券は、以前1枚あたりの単価を抑えつつ、上場に活かしたという実績を持っている証券会社です。
他にも幹事には三菱UFJモルガンスタンレー証券やSMBC日興証券、岡三証券、いちよし証券、SBI証券が挙げられています。
委託幹事は岡三オンライン証券やマネックス証券、カブドットコム証券など3社もの委託幹事が入っていました。
これは当選株数が80,500株と非常に多かったため、その分委託幹事の数も増えたのではないかと考えられます。
国際紙パルプ商事の初値とその後の展開
国際紙パルプ商事の上場は6月26日に行われましたが、その時の初値は450円となり、公開価格より約30%以上上回る形となりました。
初値後はそのまま徐々に伸びていき、7月11日には高値で478円を記録しています。
上場来高値を更新したのは、11日付の日本経済新聞の中で、紙製品のアジア向け輸出価格が上昇したという報道がありました。
それにより国内だけではなく海外にも多くのグループ拠点を持ち、紙・パルプの卸売業を行っていた国際紙パルプ商事が注目された結果だと言えるでしょう。
ただ、8月10日大引け後に発表された決算にて、2019年3月期第1四半期の連結経常利益が前年同期に比べて25.2%の減益となった影響を受けて株価の下降につながってしまっています。
ちなみに、経常利益に関しては減益となりましたが、通気計画の進捗率は18.7%で前年同期とほとんど変わらない水準だったことが分かっています。
現在の動きは少しずつ上昇8月22日現在で終値368円です。
決算の結果に加えて、ちょうどお盆時期に入ったことから、株価が低調な動きを見せていたと考えられます。
ただ、18日付の日本経済新聞の中で政府がプラごみの削減に向けた対策に乗り出したと報道。
年内にも対応策をまとめる可能性が高いと示しており、プラスチック製の代替品として紙需要が伸びるのではないかとの期待から、紙・パルプ関連企業の株が買い傾向に入りました。
今後、政府が具体的な対応策を出してきた場合、さらに株価の上昇も考えられます。
国際紙パルプ商事は株価も1,000円以下で買いやすいため、今後も注目しておくと良いかもしれません。
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