ソフトバンク(9434)の初値は?
2018年12月19日、注目されていたソフトバンク(9434)が東証一部に上場を果たしました。
初値は1,463円で、1,500円の売り出し価格を下回ることとなりました。そしてその後も売り押され、前引けは1,360円でした。
後場はさらに安い1,352円で始まり、その直後大きく売りが入り12時14分には1,315円の安値を付けました。
募集時は超巨大IPOとして世間の話題をさらっていたソフトバンクが、
なぜ、売り出し価格割れの初値をつけ売られていったのか。
その要因は上場前に起きた、ある懸念が起因していると思われます。
ソフトバンクに起きた懸念とは?
ソフトバンクの懸念としては概ね下記の件が挙げられ、それらが今後の収益性を圧迫するという見方が出ています。
ソフトバンク上場前の3つのネガティブ要因
・通信障害に対する措置
・通信料金の値下げ
・中国製装置の入れ替え
ソフトバンクの大規模通信障害
懸念の一つ目は、皆さんご存知の通信障害が起こった件ですね。
これは一般ユーザーにも万遍無く直接的に被害が及んだため、広く周知されるところとなり、ソフトバンクを介す通信デバイスに対して大きな不安を煽ることとなりました。
このような印象が植え付けられれば、IPOの購入申し込み期間前の事件であったこともあり、さほど長けていない株式投資家でさえも購入を見送る要因とはなったはずです。
初値が売り出し価格を割り込んだのも、この経緯を鑑みれば想像に難しくありません。
今回の通信障害の原因は、スウェーデンのエリクソン製の交換機に不具合が起きたためとされています。
その対応として、フィンランドのノキア製機器導入による通信環境整備のため莫大なコストが掛かることが今後のソフトバンクの負担となってくるはずです。
さらに総務省が、今回の通信障害を「重大事項」と認定しているため、何らかのペナルティを課せられる可能性も否定出来ません。
通信料金値下げ
二つ目に挙げられるのが通信料金の値下げですね。
これも日本中が周知しているとおり、政府の意向に沿う形で10月末日にNTTドコモが通信料金の値下げを決定したことが発端となります。
そして菅官房長官の発言に沿ってソフトバンクも4割値下げに向けた方針を打ち出しています。
これに対して、相当数の人員削減を行うことも示唆していましたね。
だとしても、ソフトバンクの収益の胆である通信料を値下げするということは、明確な減収見込みが立つわけです。
ソフトバンクは今秋既に、実質2~3割におよぶ値下げプランを慣行したばかりであり、ここからさらなる値下げを行えば、投資家真理を冷やすことは火を見るより明らかです。
中国製装置の入れ替え
そして3つ目の中国製装置の入れ替えというのは、米国発の事案ですね。
日本政府もファーウェイ製品の排除を事実上決めているものの、民間企業には要請をしないとしています。
しかし、ソフトバンクの親会社であるソフトバンクグループ(9984)には米国の携帯電話会社であるスプリントがあります。
今回ソフトバンクはファーウェイ機器製品を欧州メーカー製に切り替える方針を固めていますが、そこに至るに際し、スプリントが背中を押していたと言われています。
ここでも切り替えに際し、多くのコストが掛かってくるのは間違いないでしょう。
IPO上場初日は下げ一本調子
収益性の弱体化からネガティブ材料満載の中、ソフトバンクは2018年12月19日にIPO上場しました。
先述のとおりIPO初値は売り出し価格を割り込み、その後も売りに押され終わってみれば売り出し価格を15%も下回ることとなりました。時価総額にして7兆円のマイナスです。
初値後にわずかに上に向く場面もありましたが、その後の下げは一本調子で安値引けとなっています。
株価がつり下げられ終値は1,282円
細かく見ると、後場に加速した売り足が1,315円から反発する場面もありましたが1,350円に値をつり下げる「見せ板」が出現し、再度売りが加速していきます。
見せ玉(ぎょく)とも呼ばれ、株価のつり上げ・つり下げを目的として買い注文や売り注文を出すことです。「見せ」の言葉からもわかるように、そういった注文があるように「見せかけ」で、価格操作しようとする行為です。
その後、1,330円以下に断続的に大きめの買いが入り、買い下げられていっているのが解ります。
結局は1,315円も割り込み、大引けまで下げの一本調子となりました。
ネガティブ要因が大口の売りを呼び込んだ
元々、ソフトバンクの売り出し価格が強気だという見方があったことや、上場に至るまでの様々なネガティブ要因は、大口の売りを呼び込むのに十分な背景だったと言えるでしょう。
当日は日経平均株価も127円安と、総体的に弱い相場となっていましたね。
上場直前に勃発したソフトバンクの3つのネガティブ要因は、収益性に多大な影響を直接及ぼす事項であったため、タイミングが悪かったとしか言いようがありません。
今後の株価予想は?
ただ、やはりこれだけの大型株であるため、割安感から大口の買いも随所で入ってくると予想できます。
今日12月19日の値動きを一日を見ているだけでも、その兆候はありました。
したがって下げ止まりを見極めれれば、短期的には大きなチャンスを掴むことが出来るかもしれません。
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