インバウンドとは、一言で言えば訪日外国人観光客を指します。
2019年は3,188万人(前期比2.2増)の外客数を記録。
日本政府は、今年の東京オリンピックまでに訪日外国人4,000万人を目標に掲げています。
そこで、元証券マンの管理人が、2020年の本命インバウンド銘柄を厳選しました。
昨今のコロナウィルスや東京五輪を加味しながら選定したので、あなたの銘柄選びの参考にしてみて下さい。
記事の目次
インバウンド銘柄 訪日外国人は年々上昇
日本の訪日外国人は、2011年の620万人から右肩上がりで上昇。
アベノミクスで為替相場が円安に向かったことで、外国人が日本に訪れる動機となりました。
下記グラフは日本政府観光局が発表した、直近10年間の訪日外国人推移です。
アベノミクス後も各国ビザの緩和や、世界的に旅行しやすい環境が整ってきていることで、訪日者数は上昇。
特に訪日外国人で目立つのは中国人です。
2019年は954万人(前年比14.5%増)の外客数を記録しました。
中国人を中心にインバウンド消費が拡大し、化粧品や医薬品などの爆買いに繋がっています。
2020年はコロナウィルスが懸念
2020年は東京オリンピックイヤーながら、訪日外国人の集客に暗雲が立ち込めています。
昨今社会問題となっているコロナウィルスの影響です。
2月17日現在、発症国である中国の感染者数は70,000人を越え、死者は1,770人にまで登っています。
中国以外でも28の国と地域で感染。
外国人の渡航が委縮ムードとなり、我が国のインバウンド消費も変化が見られそうです。
そのため今回は、インバウンド消費を支える中国人の動向を度外視し、管理人の独自目線でインバウンド銘柄を厳選しました。
インバウンド銘柄 2020年の本命銘柄
一つ目の銘柄はカカクコム(2371)です。
インバウンド銘柄 カカクコム(2371)
カカクコム(2371)はグルメサイト「食べログ」や価格比較サイト「価格.com」などのポータルメディアを運営。
掲載店からの手数料収入が収益の柱です。
2月4日の第3四半期決算は、連結税引き前利益205億円(前期比13.8%増)と順調。
AI活用によるコンテンツ改善など、さらなるサービスの機能改善および情報充実に取り組むことにも触れています。
今回、私がインバウンド銘柄にカカクコムを選んだ理由は「食べログ」英語サイト の充実度です。
国内グルメサイトの代表格である食べログは、約90万店舗の飲食店を掲載。月間20憶アクセスを誇り、月間利用者数も1億4万人に登ります。
現在外国人の渡航が委縮ムードであっても、7月の東京オリンピックでは多くの訪日外国人が見込まれています。
国内最大数の飲食店が掲載されている食べログは、外国人の利用が集中するでしょう。
株価チャート ※週足
株価
財務指標 ※2020年2月18日時点
業績 ※四季報2020年1集より
カカクコムの2019年チャートを週足で見ると、上昇トレンドを1年継続させています。
業績も毎期黒字で右肩上がりで推移し、好調な運営。今後も株価上昇に期待できそうです。
また、財務指標から投資家に寄り添った経営を読み取ることができます。
ROEに注目です。
ROEとは自己資本利益率のことで、株主が出資した資金を効率よく使えているかを示す指標です。
12%以上で優良企業と評価しますが、カカクコムは45.1%。
資金を上手に回せていることが分かります。
ROE向上には2つの方法があり、1つ目は利益を伸ばすこと。2つ目は株主資本を小さくすることです。
前者は業績推移からも読み取れますが、注目すべきは後者です。
カカクコムは毎期増配をしているだけでなく、積極的に自社株買いを行います。
インカムゲイン・キャピタルゲイン両方で投資家還元する姿勢を見て取れるのも評価ポイントです。
インバウンド銘柄としておすすめできます。
インバウンド銘柄 象印マホービン(7965)
象印マホービン(7965)は調理用家具・リビング用品の専業大手です。
電気炊飯器は国内シェア1位で業界をけん引。
12月25日の本決算でも「炎舞炊きシリーズ」の好調さを挙げていました。
ただ、象印マホービンをインバウンド銘柄に抽出したのは電気炊飯器ではなく、他に理由があります。
期待はステンレスマグです。
東京オリンピックでは世界各国の外国人が来日予定、ヨーロッパ人も多いでしょう。
ヨーロッパはエコ活動が進んでおり、特にドイツやフランスはエコ大国。
7月の夏場、ペットボトルの代わりにステンレスマグで飲料することも考えられます。
日本製品は海外人気が高いですから、お土産としても期待です。
株価チャート ※週足
株価
財務指標 ※2020年2月18日時点
業績 ※四季報2020年1集より
象印マホービンは自己資本比率76.9%。
70%以上で理想的な企業と言われているため、象印マホービンは安定した企業と言えます。
しかし、業績は2016年11月期から徐々に衰退。
2019年11月期本決算では、国内電気ポットの市場縮小傾向や、中国市場での炊飯ジャーが低調に推移したと紹介しています。
そこで、四季報2020年1集では【復活策】を挙げていました。
ターゲットに合わせた商品製作。広告積極展開を取り、認知度拡大を狙うようです。
先述のインバウンド需要にも期待したいと思います。
インバウンド銘柄 東京オリンピックに期待
インバウンド銘柄を狙うなら、東京オリンピックに焦点を当てましょう。
コロナウィルスで訪日外国人が減少しても、需要のあるサービスや商品は必ず存在します。
ピンチはチャンスです。
ネガティブな状況だからこそ、今回ご紹介したような期待できるインバウンド銘柄に注目し、勝てる株式投資を目指して下さい。
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2018年期待のインバウンド銘柄 3選
2018年の後半辺りからは、インバウンド消費の伸びが鈍化しています。
これは主に、「爆買い」を行っていた訪日中国人観光客の減少によるものとされています。
インバウンド需要の増加はまさに、この中国人観光客の爆買いが牽引していたと言って差し支えないでしょう。
しかしこの爆買い現象は、2016年頃から徐々に減少を見せてきます。その最大の要因は、中国政府による海外購入品の持ち込み課税を強化したことが挙げられるでしょう。
また2016年は、為替相場が一転して円高方向に向かったことも後押しとなったと思われます。
さらに中国国内でも、日本製の商品の販売網が普及しており、わざわざ日本まで行って買い物をするトレンドは萎えていると言えます。
中国の景況は、2018年に入ってからは翳りを見せ始めています。米国との貿易摩擦も、さらなる追い打ちを掛けていますね。
このような背景から訪日中国人のインバウンド減少もさることながら、当人達の消費スタイルも変化してきており、今や「爆買い」が「ひと昔前のワード」という様相になってきています。
インバウンド消費のスタイルは「爆買い」から「体験型」に
ただ爆買いが一巡した要因は、中国人観光客の経済具合だけの問題ではなく、消費のスタイル自体が爆買いから体験型に変化していることも挙げられます。
当時、爆買いのターゲットとなっていたのは主に百貨店でした。
例えば松屋(8237)の2019年2月期第2四半期の業績累計は、やはりインバウンド(訪日外国人)の来店増による化粧品、ラグジュアリーブランドの好調を背景に、百貨店業の営業利益が7億円(前年同期比40.4%増)となり全体をけん引しました。
連結営業利益も5億6,700万円(前年同期比0.8%増)となり、従来予想を6,700万円も超過しています。
松屋が同業他社と比較して抜きんでていたのは、まず訪日外国人の半分弱が訪れる東京に拠点が集中していたことが挙げられます。
また、大手百貨店の多くが不動産や建設業などを手掛けているのに対し、「百貨店業」の売上構成比は当時で88.7%と高く、特に爆発的なインバウンド需要が起こった際には、その恩恵を一番受けやすいと言えるでしょう。
では、昨今インバウンドにおいて「爆買い」からシフトしているという「体験型」の消費とは何なのか?
体験型消費とは、爆買いを「もの消費」とするなら「コト消費」ですね。旅行先の国でやってみたいと感じる「ご当地体験」に対する消費を指します。
日本は特に独特な文化が多く、思いつく体験できるものを挙げてみても、着物・舞妓・相撲・茶道・華道・着物・座禅と多様です。
特に京都はこれら全てを包括できるため、「日本で行きたい街」ランキングでは不動のナンバー1となっていますね。
インバウンド銘柄の出遅れ株
「体験型」消費といってもその範囲は非常に広いですが、基本的に観光あっての分野ではないかと考えます。
もちろんそれに付随して、近隣の飲食店チェーンやそこに至るまでの交通関連企業もインバウンドによる恩恵を受けることになりますね。
ただ今回は、体験に一番ダイレクトと言える「観光」というカテゴリで、そこに関連性が深い企業の銘柄を挙げていきたいと思います。
インバウンド銘柄① デジタルガレージ(4819)
デジタルガレージはインターネット関連の事業を展開している企業で、決済関連事業や広告プロモーション事業、ベンチャー投資も行っています。
「価格.com」や「食べログ」を運営するカカクコムを関連会社を有しています。
また2008年にはTwitter社と資本業務提携を行い、Twitter日本語版の運営への協力や日本語版の広告販売も行っています。
他にも、東京、サンフランシスコ、香港を拠点として、デジタルマーケティング、決済、スタートアップ企業への投資・育成事業を展開しており、周辺事業を多角化しています。
さらには、カカクコム、クレディセゾンと共同で設立したDG Labというオープンイノベーション型の研究開発組織の運営も行っています。
デジタルガレージは体験型インバウンドの分野では、観光地案内アプリの提供を行っています。
デジタルガレージの株価は、2018年の下半期に入ってからそこまでの上昇の調整に入っています。
2018年12月で直近安値を付けてから反発しており、ここまでの下落のサイクルを崩しています。
現時点では、2017年9月の上値を抑えた2,250円辺りが支持されている模様です。
下余地を残しているため、もう一段下げる可能性も考えられますが、2,000円辺りは元々がデジタルガレージにとっての低位であるため、買いが活発化してくると予想できます。
インバウンド銘柄② エイチ・アイ・エス(9603)
海外旅行、および国内旅行の企画・販売・手配を行う総合旅行会社です。
日本国外への格安航空券の販売が主軸業務ですが、1990年頃から自社企画の海外パッケージツアー商品も販売するようになり、現在はグループのホテルなども保有しています。
業態がインバウンド需要の恩恵も大きく受けることになりますが、これに加えて長崎ハウステンボスの運営という直接的な事業も展開しています。
2015年8月からのレジスタンスライン、2017年4月からのサポートラインによりトライアングルを形成していましたが、2019年1月22日に明確に上方へ上抜けています。
既に目先のポイントである、2017年12月に上値を抑えられた4,200円に迫っていますが、2018年7月からの上昇は堅固であるため、突破する見込みが大きいと思われます。
したがって、その上の高値である4,700円付近がターゲットとなってきそうです。
インバウンド銘柄③ 東武鉄道(9001)
交通・流通・住宅・レジャー等、多くが関連会社で構成されている東武グループの中核企業です。
東武スカイツリー株式会社の筆頭株主でもあり、ホテル等、周辺の再開発を推進中。他にも日光など、沿線観光に力を注いでいます。
東武鉄道は、観光に関するあらゆる分野を手掛けており、まさに周辺のインバウンド供給を一手に担っていると言えますね。
東武鉄道の株価は、2018年に入ってから調整地合いに入っています。
2018年12月にサポートラインをさらに下にブレイクアウトし、2,800円の安値を付けています。
当水準は2017年4月の支持ラインでもあり、直近の安値を付けた時は乖離が広がっていたこともあり、一旦の底を打った可能性があります。
インバウンド銘柄の今後の株価は?
インバウンド銘柄と言っても幅広いので、関連セクターによっても株価推移が異なるので一概にどうという予想はできません。
しかしインバウンド銘柄に共通して言えるのは、東京オリンピックという巨大な需要が控えていますので、買い所をある程度精査して判断できれば途中の上下動はあれど2020年までは比較的安心して保有していられるのではないかと考えられます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
他にもバイオ株の本命3銘柄 を選んだ記事があるので、是非チェックしてみてください。
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