人材派遣関連銘柄についてはIot関連やバイオといった他のテーマ株のセクターに比べ、その市場規模や将来的な見通しが報道されることはさほどありません。
ですが「働き方改革」から現在に至るまで人材派遣需要は高まっており、今後も需要は長期的に加速していくでしょう。
すでに大きく株価を伸ばしている銘柄も多数ありますが、今回は改めて人材派遣関連銘柄が長期的に注目すべきなのかという理由と2019年以降も注目すべき有望銘柄などを紹介します。
記事の目次
人材派遣関連銘柄が有望な理由
日本企業側の正社員雇用の減少
2008年のリーマンショック以降、企業のディフェンシブな姿勢から、日本の雇用環境は悪化していました。そのような情勢の中を、人材派遣業者は介在し利益を上げてきました。
厚生労働省が発表した労働派遣事業報告書によると、2016年度の人材派遣業界の年間売上高は6兆5,798億円に昇っています。これは、リーマンショック以降で最高の数字です。
この動向の背景にはまず、企業側の正社員雇用の減少という要因があるでしょう。近年の日本企業も、雇用に対しては欧米のようなスタイルを好む傾向がありますね。
正規雇用とは一度雇用してしまうと、何か問題などが無い限りおいそれと解雇することが出来ません。それは企業側にとって取るリスクが高いと言えます。
対して非正規雇用である人材派遣は契約期間等を定めているので、都度企業側にとって査定できる機会を設けることができ、近年増加傾向にあります。
少子化による労働人口の減少
2012年のアベノミクス発動以降、企業の雇用活動も徐々に再開・活発化されていきました。
しかし今度は、売り手市場となるほどの人手不足に転じることとなります。2016年度12月には、有効求人倍率は1.43に達し、平成バブルの最高値となる1990年7月の1.46倍に迫りました。
日本は、ただでさえ少子化による人口減少に転じているため、若年層の絶対数が少なくなっています。
またリストラ等により40代周辺の層が空洞化していることも要因と言えるでしょう。このような背景から、ますます非正規雇用は増加しています。
非正規雇用と言うと契約社員や派遣社員が連想されやすいですが、それは労働人口全体のわずか8%程度に過ぎません。約65%は正社員雇用、他はアルバイトやパートタイマーが占めていますね。
つまり、労働人口に対する非正規雇用者の割合はまだ拡大余地があり、人材派遣関連銘柄にも期待できるということになります。
2020年の東京五輪に向けて人材派遣需要が拡大
人手不足は、日本の人口動態を鑑みると今後も拡大していくでしょう。特に目前に迫っている2020年の東京五輪においては、建設やIT等の人材の需要が急増しています。
人材派遣業が人材の中継ぎを行うことにより、日本の産業は人材不足を何とか凌いできたという経緯があります。
日本の労働人口の推移はそのまま人材派遣業の需要と反比例すると言っても過言ではないでしょう。
人材派遣需要が高まる建設関連業
人材派遣が目立つ業種は、やはり建設関連業ではないでしょうか。日本が戦後の発展を急激に遂げてきたことを見ても解る通り、その背景には多くの建設従事者が存在していました。
しかし平成バブルをピークに、建設従事者の数は雪崩式に減少。当時は3Kというワードが流行りましたが、建設業務はまさにそれが当てはめられていました。
それでも建設従事者の賃金は、特に若年層の他業種より比較的高水準であったため、人気もありました。
しかしバブルが弾けてからは、平均工事単価が低下し、それが建設業に従事する魅力を低下させ、建設従事者の減少を引き起こしたと考えられます。
だからといって建設業は、国の主幹事業であるため止めるわけにはいきません。そこで活躍したのが人材派遣業者というわけですね。
今や工事現場を見ると、特殊技術を必要としないものは半数近くが人材派遣による人員となっています。
コールセンター業でも人材派遣需要が高まる
もちろんブルーカラーだけではなく、ホワイトカラーにもその波は浸透しています。最もわかりやすいのは、コールセンター業ではないでしょうか。
今や日本で一定以上の規模を持つ企業のほとんどがコールセンターを設営しています。
オペレーターはほぼ全員が派遣社員かパート社員です。業務自体がマニュアル化され、難易度の高いスキルを求められるわけでもないため、まさに派遣社員を当て込む格好のセクションと言えます。
コールセンター向けの人材派遣のシェアは非常に大きく、それを専門にしている人材派遣業者もある程です。
もちろんこの建設業やコールセンターの2業種だけでなく、派遣人員の供給で運用されている業種は多く存在しています。
全国的のそのような背景によって、先述のとおり6兆5,798億円という年間売り上げが人材派遣業界にもたらされています。
2019年以降 人材派遣関連銘柄の出遅れ株は?
人材派遣関連銘柄数も現在では非常に多いです。そして今後の日本の人口動態を考慮すれば人材派遣関連銘柄が人気化する可能性は高いでしょう。
今回は、今後有望な銘柄とその株価予測を3つ紹介したいと思います。
UTグループ(2146)
ものづくり分野での人材サービス事業などを統括しています。2007年4月2日に、日本エイムとエイペックスの株式移転により誕生しました。
派遣人材の専門分野は、半導体や電子部品の製造が中心。環境・エネルギー、自動車関連業界等に構内作業業務の他、エンジニアの派遣も行っています。
派遣人員個別の派遣ではなく工程単位で一括に請負う形態が主体であり、その雇用形態は約7割の正社員と契約社員に分かれます。
UTグループの株価は、リーマンショック後の2009年2月に底を打ち、そこから2018年6月までほぼ上昇の一途を続けていました。
本格的な動意は、2016年11月にトランプ政権が誕生した辺りから始まっています。
2018年6月に高値を付けて以降は調整地合いに入っていましたが、綺麗に反発していますので今後上昇余地は拡大しそうです。
エスプール(2471)
販売支援、そしてコールセンター向けに特化した人材アウトソーシングサービスを展開しています。
派遣人員の業務領域は、通販の商品の発送代行手続きを受託するロジスティクスアウトソーシング、農業分野に障がい者雇用を希望する企業の支援を行う障がい者雇用支援サービス、そしてコールセンターの人材派遣の3つで構成されています。
近年においては、顧問派遣、マーチャンダイジングといった新規事業にも着手しており、2015年7月からは、東京電力管内のスマートメーター設置業務などを受注しています。
エスプールの株価は、2018年に入ってから急伸し、2019年1月30日現在ボックス相場を形成しています。
既に高水準で推移している点は気になりますが、現在のボックスのパターンを考慮すると、ブレイクアウトは上方に起こりそうです。
またレンジ内でも下限付近で推移しているため、少なくともレンジの上限までは上昇を見込めそうですね。
フルキャストホールディングス(4848)
家庭教師派遣を業務として設立された神奈川進学研究会が前身です。その後、全国に展開し、軽作業請負業務に拡大。
近年では、主流であった短期派遣から撤退し、アルバイト紹介と給与管理代行に主力事業をシフトしています。
フルキャストホールディングスの株価は、2018年7月に高値を付けた後、調整地合いに入っていました。
しかし2018年末に掛けてダブルボトムも形成した後、直近戻り高値を上抜けているため、反転の兆しが出ています。
【全20銘柄】その他の人材派遣関連銘柄リスト
先述した3銘柄以外にも人材派遣銘柄は多く存在します。他の銘柄もぜひチェックしてみてください。
・夢真HD(2362) / 建設業向け技術者
・インタライフ(1418) / 建設業向け技術者
・ヒップ(2136) / 技術者
・ジェイテック(2479) / 技術者
・トラスト・T(2154) / 自動車関連・電機メーカーへの技術者
・nms(2162) / 製造業向け技術者
・アルトナー(2163) / エンジニア
・クイック(4318) / 人材紹介
・パソナグループ(2168) / 人材派遣業大手
・CDS(2169) / エンジニア
・LINK&M(2170) / 人材紹介・外国語指導
・パーソルHD(2181) / 人材派遣業大手
・アイスタディ(2345) / エンジニア
・SMS(2175) / 介護・医療業界向け
・スリープロ(2375) / IT業技術者
・SBSHD(2384) / 物流向け
・ピーエイ(4766) / 求人サイト運営・人材派遣
・エイジス(4659) / スーパー・コンビニ向け
・エクストリーム(6033) / エンジニア
・SERIOHD(6567) / 主婦
人材派遣関連銘柄のまとめ
人材派遣業はその形態が幅広いため、銘柄ごとの株価推移にバラつきがあります。
ただ、やはり今後の日本の人口動態による人材派遣業全体の需要は息が長いと言えるでしょう。
東京オリンピックも控えていますし、ネガティブ要素の少ない出遅れ感のある銘柄には要注目ですね。
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